第19話

「あの数々の嫌がらせは貴方がやったんですか?」


もはや分かりきっていることを質問してきた。今までの話の流れで分かったのだが、一応確認のためにと言うことだろう。


「もちろん、僕がやったよ。君は彼には相応しくない。だから早々に身をひいてもらおうと思ってね」


そう伝えると女狐は今までの怒りの表情から一転、真顔になった。


「だそうですよ。大地くん」


え?


教室のカーテンの後ろから大地が出てくる、その表情は信じられないと言う顔をしていた。


「洸、今の話は本当か?すみれへの嫌がらせは、全部お前がやっていたのか?」


「大地くん、ここまできたらもう洸さんには弁明の余地はありませんよ。現実を受け入れてください」


ああ、そう言うことか。僕はこの女狐を使ってやろうと考えていたのだが…。なるほど、逆にそれを利用されてまんまと罠に引っ掛かってしまったのか。小狡い女だ。


「ああ、そうだよ。今さっき話したことは全て事実だ。何一つとして嘘なことはない」


「っ!?そうなのか…」


そうか、バレたか。しょうがない。ならば、これからは一緒に暮らさないとな。大地が逃げられないような部屋で一緒に。


「洸、お前。剣道部の俺に勝てると思っているのか?」


「大地、愛は人の原動力なんだよ」


すぐそばにあったほうきで勝負を挑んだ。全ては、大地を僕のものにするために。
















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