第18話

「洸さん。こんなところに呼び出して何のようですか?」


あ、獲物が来た。警戒心丸出しだけど…。まあ、仕方ないか。


「そんなに警戒しないでよ、すみれさん。僕と君の仲じゃないか」


「あなたと私の仲?それがこの写真ですか?」


そう言って女狐は一枚の写真を僕に放り投げてくる。


その写真は、10年前に撮られた銃殺遺体の写真である。


「2011年6月7日。とある銀行で銀行強盗が起こった。犯人は、身を黒い服で包み、拳銃を持っていた男だった。しかし、その事件はいとも簡単に解決された。それは何故か。そう、犯人が死んだからだ。いや、正確には殺されたからだ。」


「何が…言いたいのです?」


聞き返してくる女狐。よく見るとその体は小刻みに震えている。


「何って、君が一番良くわかってるんじゃないのかな。その犯人を殺したのが君だってことを、ね」


僕がそう言葉を投げかけると、女狐は面白いくらいに体をビクッと反応させ、顔が見てわかるように、青白くなっていく。


「何で、それを知ってるんですか…」


「そんなことはどうでもいい。君もいやな話は聞きたくないだろう?」


そう、どうして知ったのかなんてことは今は関係ない。それが本題ではないのだから。


「僕の目的は二つ。一つ、今までの君に行われたいじめの全てを自分がやったことにするんだ。そしてもう一つ、金輪際、彼に近づくな。」


女狐はその言葉を聞くと、いまだに体を震わせながら、こちらをきっと睨んできた。


「あの数々のイラがらせは、あなたがやったんですか?」


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