第176話

俺達は下鴨神社でお守りを買い、おみくじを引いて、和気あいあいとしている集団には入らず、ちょっと外れた場所でおみくじを見た。俺は吉だった。


「やったー大吉だよ。しかも恋愛は叶うって。だけど、妥協も必要って書いてあるけどどいうことかな?恋愛は妥協しちゃ取られると思うんだけど。悪いところは目をつむれってことかな」


「俺は恋愛はいいな。自分の思った道を突き進めば未来は開かれるでしょうだってよ」


自分の決断に自信を持てってことだな。馬子さんによると明日思い出せるらしいからそのとき決断か。記憶を取り戻したときにどんな決断を下すか。


「ふふ、私を選んでくれることを信じてるよ」


かなえを選ぶ可能性を考慮してないのか?それだけ記憶喪失になる前の俺がかなり好きなことがばれてるんだろう。多分言ったのは梨花だろうが。人の好きな人を本人にいうなよと思う。梨花からしたらかなえと付き合うのは反対はしないが賛成はしないって所か。


「先生も移動してるしもう行くぞ」


それからいろんな神社に行きあっという間に夜になり、ホテルへと戻った。ちなみに何故か長濱さんはナンパされなかった。しようとしたやつはいたが、俺を見るとどっかに行った。彼氏にでも見えたんだろうか?そんなに釣り合っているかね。


「うーん今日は楽しかったかな。ナンパもされなかったし、松永さんはすごかったけど」


ああ、松永ね。あいつはめちゃくちゃナンパをされていたな。森田の主人公的なものは女子にしか効かないらしいな。だから端から見ると対してイケメンでもないやつが美少女侍らせてハーレムを築いていると思うんだろう。だから一人くらいと思ってナンパをするんだろうな。


「松永は学校でも有名な美少女だからな。アイドルのスカウトも来てるらしいし」


松永はアイドルは恋愛ができないと断ってるらしいが。彼氏役を森田にして目の前でイチャイチャしたりして。それを他の美少女達はよく思ってないらしい。森田もいい加減気づけよと思うが。


「まぁ悟志くんゾッコンだしそうなるよね。それじゃ私一旦自分の部屋に帰るね」

 

「ああ、それじゃまた明日」


そう言うと長濱さんは部屋に戻っていった。俺も部屋に戻り系タイゲームをして過ごしたり、飽きたら本を読んでいた。他の人は一人だと寂しいと思うかもしれないが、俺は一人のほうか気を遣わないでいいし、自分の好きなことをできるから、むしろこっちのほうがいい。


俺は時計を見るといい時間になっていたので、温泉にはいることにした。この時間だとあんまり人はあまりいないだろうからな。ウェイウェイ騒ぐうるさいリア充共は早めにはいってこいばなでもしてたの死んでる時間だろう。そしてその恋ばなに上がるのは恐らく長濱さんがほとんどだろう。それだけの美少女だからな。時点で松永だが。松永は好きな人知れ渡っているので好きな人はあまりいない。


俺はパジャマを持って、温泉に向かった。昼は景色をあんまり楽しめなかったが、夜は楽しめそうだ。ここは京都の市街地から少し離れているから、自然を楽しめるのだ。


俺はうきうきした気分で行くと、森田が誰かの告白を受けていて咄嗟に隠れた。いや隠れないでそのまま行けばいいんだがなんとなくな。それにしてもロビーで告白するってなにかイベントでも起きたのだろうか?


「ごめん付き合えない。僕は好きな人がいるんだ」


恐らく長濱さんのことだろう。告白する前の長濱さんが聞いたら喜んだことだろう。今は好きな人が俺になってヤンデレ化を開花させたが。俺は主人公じゃないのにあのヤンデレをどうにかするなんて無理だ。


「長濱さんのこと?」


女子は苦虫を噛み潰したような表情をしている。やっぱり他の人から見ても分かるんだな。ていうか、あの子長濱さんのこと嫌いすぎだろ。多分嫉妬からくるものだろうが。


「そうだよ。だからって美海に何かしたら僕は許さないからね」


ここで忠告することで事前に嫌がらせを阻止する。主人公の威力は強いからこれで嫌がらせは起きる心配はなくなった。分かってるよと不満げな顔であの子は去っていった。少し経ったら温泉に行くか。見てたのばれたら面倒だし。


「尾関そこにいるんだよね?」


なんでばれてるんだよ。あれか霊気を見れるのか?いやそうしたら俺の周りに陰陽師だらけになるな。俺は壁から出てきて、森田と目を合わせた。


「お前は陰陽師か何かかよ」


「一応僕の家は陰陽師の末裔だよ。美海が陰陽師関連の家なんだから幼馴染みでもある僕の家もそうなんだよ」


ああ、そういえば長濱さんも土御門血が流れているんだっけ。こいつもそうするとかなりの家柄なんじゃないだろうか?平安時代から続く名家とか。


「まぁいいや、それでわざわざ俺を呼んだのはなぜだ?」


「いやなんで盗み見してたのか気になってね。尾関なら知らんぷりして通り過ぎそうだからね」


よく俺のことを分かっているな。俺と大して話したこともないのに。もしかして長濱さんが話したとかか?あり得そうだな。長濱さんは好きになると、その人の良い所を話す癖があるとどっかで聞いた。


「単なる興味だ。どうやって断るのかの」


「趣味悪いね。断ること前提なのもね」


「うっせーよ。告白された経験が少ないから、慣れてる人間はどうやって断るのか興味が湧くだろう。それじゃ温泉に入ってくるわ。じゃーな」


俺は温泉の時間が終わってしまうのでこの場をすぐに離れた。あいつはこれからも告白をされるだろう。長濱さんを好きだと気づく前は適当に濁していたんだろう。まぁいいや温泉を楽しむか。

















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