第171話
温泉からでると、俺は着替えて自分の部屋に戻る。森田が長濱さんをよろしくというこというとは思わなかったな。それだけ罪悪感もあったんだろう。自分の好きな人をよろしくなど早々言えることじゃない。記憶を思い出した時のことを真剣に考えなくてはな。
俺は出る準備を整えて、みんなが集まるロビーに着いた。既に何人かは来ており友達と話している。俺は特に話しかける人もいないので携帯をいじって待つことにする。
少したち長濱さんが手を振ってこっちにやってくる。クラスメイト達は長濱さんの私服を見て顔をだらしなく腑抜けさせている。白のワンピースに麦わら帽子を被っている。似合いすぎてお嬢様のような上品さを感じる。
「正弘くんどう?」
一回転して俺に見せてきた。誉めようにも誉めることか多すぎて、どこを誉めればいいのか分からない。クラスメイト達は嫉妬の視線を向けてくる。まぁ慣れたからどうってことないけど。
「上品さが醸し出されていて最高だ」
「ふふありがとう」
そう言って優しく微笑んだ。やっぱ可愛いな。かなえだと綺麗に微笑むから美しさのベクトルが異なっている。周りのお客さんも長濱損に見惚れている。
「そんじゃ行くぞー。まずは祇園だ」
浜津賀先生のテンションがやたらと高い。まぁ歴史の先生だし、歴史ある建造物を見るのが好きなんだろう。流山散策の時もがガイドさんに質問をして生徒よりも熱心に聞いていたって言っていたしな。
俺達はホテルを出ると、祇園に向かうために、歩いて駅まで行ったが、すごい数の視線を感じる。俺の隣は美少女だし、クラスメイトの女子の半分が美少女だから視線が集まるのは分かる。
駅に着くと、電車に乗った。京都って昼間でも混むのか。日本一の観光地だけはある。しかしせっかくの観光地なのに、町全体がそうな訳ではなく、ビルが大半な所は残念だ。昔の人がもっと町並みを観光地として考えていれば、古の町が出来上がっていただろう。そうすればもっと海外の観光客も増えたんじゃないだろうか。
そんなことを考えていると祇園に着いた。ここが祇園か。思ったよりも広いな。長濱さんは少し着かれているようにも感じる。まぁそりゃ慣れているとはいえあれだけ多くの下心をもった視線にさらされていたら疲れる。
「君可愛いね。僕がこの場所を案内してあげるよ地元人間だからね」
「結構です。今学校の修学旅行で来てるので、ここから離れることはできませんし」
集団で来てるっていうのにナンパするとか、その勇気は称えようと思ったが、松永もナンパされているし、どうやらこいつらも集団でナンパしてるようだ。集団なら少し気を多きくもてるよね。だからってヤりたい気持ちを持っているのがだた漏れだが。高校生に手を出すのはいかがと思うんだが。いくら大学生で年齢があまり変わらないと言っても、未成年に変わりはない。夫そんなことを歓呼得てると長濱さんの手を引っ張っているようだ。助けるか。俺は霊気大量に放出し呪文を唱える。
「おいその汚い手を離せ」
「なんだよ、ヒッ」
俺が何をしたかというと、背後に悪魔のような式神が見えるような呪文を唱えたのだ。それに驚いた男は足をがくがくしている。俺の式神は怖いのと可愛いのがいる。
「このままナンパを続けるようならこの武器を下ろすぞ」
「ヒッごめんなさい」
そう言って去っていった。この呪術は4日前に前に身に付けたものだ。どうやったら早くナンパを撃退できるか考えた結果だ。観光地だし、気が大きくなっているやつもいるだろうと思ってな。
「ありがとう正弘くん。少し怖かったよ」
怖いよな。大人の男に手を握られたら抵抗もできないし。この呪術使えて良かったわ。周りを見渡すとどうやら他の男は主人公である森田が離れさせたみたいだ。さすが主人公結構な人数いたのに追い払うとか。そして美少女達は目をハートにしている。そして嫉妬視線を森田は浴びてるが全く動揺してない。慣れすぎだろ。
「あっちは大丈夫みたいだね」
「そりゃ森田の威圧感はハンパないからな。やくざも下っぱならどっか行っちゃうレベルだし」
「あ、先生がどっか行こうとしている」
「恐らく蘇我馬子の墓だな」
浜津賀先生は授業でやたらと古墳の美しさについて話していたし。浜津賀先生に置いてかれないように俺達は着いていく。やはり古墳だった。
「あーこの石美しいよ。これで骨とか副葬品まで見れたら最高だったんだけどなぁー。思ったよりでかいねー」
副葬品は分かるが、骨は見たって面白くないだろ。骨を見て歴史を感じるのか?それとも骨を見て記憶を見る呪術が使えるのか?風の噂だと浜津賀先生は陰陽師の子孫だと噂されている。芦屋家のである。芦屋道満の子孫だとするとかなりの力を持っているよな。
なんだかんだ言って俺も石舞台古墳を見て興奮している。思ったよりも立派でさすが権力者だと思わせる。俺もいろんな角度から古墳を目をキラキラさせながら見ていると、長濱さんに話しかけられた。
「ねぇあれ蘇我馬子?」
俺はその方向を見ると明らかに凡人とは違うオーラを放っている和服の男の人がいた。え?本物なのか。すると蘇我馬子は俺達と目が合いこっちに近づいてきた。まさか本物が目の前で現れるなんて最高だ。だがどこか神妙な面持ちをしていた。
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