第165話
俺は駅に向かって歩いていたが、フランス語の原版の小説と参考書を買いにいこうと思い書店に向かった。俺にあんなに美少女で自分がいじめられる可能性があっても助ける覚悟がある人を彼女にできる日が来るとは。人間生きてれば何があるかわからないな。
10分程度歩くと、本屋に着いた。洋風の館みたいな本屋だ。俺はこの雰囲気が好きだ。まるでフランスに来てるような感じがしてな。俺は今日はどんな小説に出会えるのだろうと楽しみにしながら本屋に入った。
なかなかいい小説が見つからないな。恋愛系のジャンルで探してみるか。俺はファンタジーから恋愛のジャンルに行くと、見知った顔に出会った。長濵さんだ。ここはそっとはなれようと思っていると、長濵さんと目があった。すると長濵さんは笑顔で俺に駆け寄った。目は笑ってなかったが。
「偶然だね。正弘くんデートの帰りかな?」
デートって部分に刺を感じる。そんなに俺が取られたくなかったのか?記憶喪失になる前の俺と長濵さんの関係ってどんなんだったんだ?これだけ嫉妬するってことは相当なかがよかったのだろう。
「まぁなそっちこそなぜここに?」
「正弘くんがここに来る気がしたからだよ」
こえーよ。何で俺が来ることを予期してるんだよ。超能力者かなにかか?ストーカーとしての資質を持ってる気がする。正弘恐怖で足ぶるぶるだよ。
「はいこれ私のおすすめの小説だよ」
それを受けとりタイトルを見た。俺の彼女はやんでれだとかいてある。いやなんでやんでれというピンポイントなものをおすすめするんだよ。もしかしてこれを見てヤンデレになったんじゃ。
「それねヤンデレだからたくさんの女に嫉妬をして痛め付けるんだけど、最終的に一年以上監禁してヒロインがいなきゃ生きていけないようにして彼女になるんだぁー。特に心が折れてくところが面白いよ」
心が折れてくところが面白いって歪みすぎだろ。監禁されないよね?俺は今はかなえが好きだから長濵さんに監禁されてもかなえからは心は離なれないよ。そう思っていると長濵さんは監禁かぁーその手もあったねと言った。え?本当に監禁するの?それもう犯罪だよ。知り合いが捕まるのは嫌だよ。
「実は山奥に別荘があってね。あの辺なら誰もこないんだよ」
俺は逃げ出そうとするがすごい力で手を握られる。どっからそんな力が出るの?あれなの実は筋肉モリモリなの?リンゴ潰せちゃうの?長濵さんはパット俺の手を離した。
「冗談だよ。監禁なんてするわけないじゃん。そんなことしたら正弘くんに嫌われちゃうからね」
目は冗談じゃなかったがな。目は据わっていたし。ちょっと漏れそうになった。それだけ怖かったてことだ。あれぞままさしくヤンデレの神が降臨していた。
「嫌われたら私どんな行動するかわからないよ」
監禁どころじゃなさそうだな。心中するレベルか。私も死んで貴方も死んで一緒になろうてきな。ヤンデレ怖い。笑顔だが目は据わっている。
「それは置いといて、聞いたよ脅されて付き合っているんだってね。梨花ちゃんが言っていたよ」
おぃぃぃぃ何言ってるんだよ梨花。今の長濵さんに湯ったら何をしでかすかわからないぞ。正弘くんのことを脅すやつなんて串刺しにしもいいよね♪的な感じになるぞ。俺は生唾をのみ混みながら次の言葉を待った。
「私は例え犯罪を犯してたとしても嫌いにはならないよ。だからばらされても私はずっと正弘くんの側にいるよ」
それを聞き俺はなぜか安心していた。嫌われることを恐れて告白を受けたのか?可能性としてはありそうだな。だが俺は今はかなえが好きなことに変わりはない。
「俺は別れる気はないぞ」
すると長濵さんは目をハイライトにしてあの泥棒猫がとかぶつぶつ言っている。すると、なにかを思い付いたようにそうかと言うと笑顔になった。
「私と付き合おう。正弘くんも幸せになれるよ。脅されて付き合うより」
まさかの長濵さんから告白。心の奥底で受けろとか言っている。まだ心残りがあったのだろうか。俺は迷っているとかなえの笑顔と勇敢な姿を思い出し踏みとどまった。
「それはできない」
「何で!私は正弘くんのこと愛してるんだよ。誰よりも」
「俺はかなえが好きみたいだからな」
すると長濵さんは泣き崩れた。ちょっここ店のなかだぞ。俺が泣かせたように見えるだろう。いや俺が泣かせたんだが、だけど屑をみるような目で俺を見るな。ちゃんとした理由があるのだから。
「私諦めないから。修学旅行でアピールするからね」
涙を目頭にためながらふらふらと立ち上がるとそんなことを言った。諦めてくれた方か助かるんだが。俺の気持ちが揺らぎかねない。記憶喪失になる前は長濵さんが好きぽかったから付き合えともう1人の俺が言っているんだよなぁー。だからアピールされると靡くかもしれない。
「あまり過激なことはするなよ」
これくらいしか言えなかった。やはり長濵さんをまだ好きなのかもしれない。記憶が戻ったらどうなるのだろう。長濵さんを選ぶのか、かなえを選ぶのかどっちを選択するのだろう。そんなことを考えていると、嫌な汗が流れる。この殺気だった視線はなんだ?
後ろを振り向くが誰もいなくて、本の表紙の女の子だけが、俺を見つめていた。
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