第131話
にしてもかなえはよく好きな人のためにここまで変わったよな。中学の頃はぼそほそと小声で喋っていて、地味でメガネを掛けていて、どう考えても同一人物に見えないよな。リア充のオーラを振り撒いていて生徒たちの羨望の眼差しを受けている。
「あ、指輪つけてくださったのですね」
「脅迫されたしな」
ここで自分の意思でつけてる訳ではないというところを言って、好きじゃないことをアピールする。そして遠回しに興味は持っていないってことも伝える。
「ふふ、つけてくれるだけで嬉しいですよ」
そんなこと意にも返さず優しく微笑んだ。その微笑みに俺は不覚にも可愛いと思ってしまった。は、俺は美海が好きなんだ。ここで見惚れてはいけない。美海をす気になっていなければす気になってたかもしれないくらいの微笑みをするから油断できない。
「お揃いなんて素敵ではないでしょうか」
「カップルがお揃いなのは確か素敵かもしれないが、それはあくまで互いに好きあっている場合だ」
美海が好きな俺はこの指輪を見るたびに罪悪感に苛まれる。美海が好きなのに違うやつと付き合っているという罪悪感が。たが美海にあの動画は見せられない。軽蔑した視線を向けられるだろうしな。今までの積み上げたものが意味がになくなる。
「フフいつか正弘くんは私に惚れますよ」
その自信はどっから着てるんだか。ルックスだけだったら俺のタイプに近いだろう。ボブの髪型に大きな目ですッと通っている鼻。質感のある唇。るんのような俺の好きなルックスだ。しかも整形してないでこれなんだからまさしく理想だろう。
「ルックスだけなら好きになるかもしれないが、さすがにストーカーは好きにならないぞ」
根な美少女にストカーされるなんて羨ましく思うも知れないが、好きな人がいる俺からしたらいつなにされるか分からなく恐怖を抱くものだ。だって好きだからストカーをするってことだろう?つまり俺と美海のじゃまをしてくることもあるってことだ。
「好意をあげるのに今までのは関係ありませんよ。電車が来たみたいなので乗りましょう」
「ああ、乗るか」
俺達は電車に乗ると、空いてる席があったので俺達乗った。意外にもかなえはくっついてはこなかった。腕を組んでくると思っていたんだが。なにか思うところがあるのだろうか。美海がに会わないことを祈ろう。朝から美海似合えれば活力がわくんだが、今は会わない方がいい。
「そういえば昨日ひかるさんがテレビにでていましたよね」
まさかるんの話題がでてくるとわ。るんのことが好きなのか?普通だったらるんのことを好きって時点で嫉妬をして話題に出してこないだろう。るん好きなら親近感がわくな。ストカーして知ってあのパフォーマンスにやられた感じだろうか。
「でてたな。ブルームンキスの一回音楽が止まって呟くあのシーンのあとの表情が好きなんだよな。挑戦的な目付きというか」
他にも好きなシーンはあるがあそこが一番好きだ。存在感があるダンスとか。るんはかなり努力したことが伝わってくる。ダンスもキレキレだしな。
「あのシーンですかいいですよね。魅惑的というかそんな感じがします」
まさかあれを分かってくれる人がいるとは。だが好きな人は変わらないぞ。俺は美海にぞっこんたからな。これで好きな人が変わったら軽い男か、勘違い野郎なだけだ。自分の趣味に合うなんて運命的だみたいな。
「まぁるんの可愛さを分からないやつは人間じゃない」
それだけるんという存在は俺のなかで大きい。
あれほどの美少女は美海くらいだろう。ナンバーツーだ。るんのルックスは櫻坂でもトップクラスだろう。人気が高い分握手券を取るのも一苦労だが。
「確かにそうかもしれませんね。女性の私から見てもあれだけ可愛いい人はそういないですね」
るんのことをよく分かってらっしゃることで。少しだけかなえに対する好感度が上がったかもしれない。まぁ上がったとゆっても美海の足元にも及ばないが。るんと話が合う人は俺は友達が少ないせいかあんまりいないからな。るん自体はご当地アイドルでも千葉県民なら知らない人がいないほどのグループだから人気があるが。
「っと着いたな。出るか」
俺達は電車を降りて定期を見せたあと、隣同士で歩く。ここでもかなえは特になにもアクションを起こさなかった。ストカーだったからもっと過激に出ると思ったが、なにも起こさないとは意外だ。
「正弘くん中浜さんのどんなところが好きなんですか?」
「ルックスと、真面目に見えてどこか抜けてるところとか、頭がいいところとか、笑顔が可愛いところとか、声が可愛いところとか、目を細めた笑顔とか、優しいところとか、挙げたらきりがないな」
俺は美海のあらゆるところが好きだ。常に笑顔でいてほしいと思う。それだけ美海のことを俺は想っている。惚れた弱みってやつだろう。どんなところも愛おしく感じてしまう。
「まぁとりあえず参考にはならないと思うぞ」
「ええそうですね。しのぶさんの方が参考になりそうです」
俺達はそのあとるんの可愛さについて議論をしながら学校に向かったのだった。
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