第129話

俺はかなえを家におくって自転車を漕いでいた。今日はいろんなことかあったな。告白されて脅されたり、お揃いの指輪を買ったり、キスをされたり。俺は美海にばれないように別れられるのだろうか?指輪は帰り際かなえに着けてほしいわと言われたのでつけている。恐らく梨花に邪智されるだろうな。


俺はそんなことを考えていると、家に着いたので、自転車を止めて、鍵を抜き、家の鍵を出してドアを開けた。


「ただいまー」


俺は靴を脱ぎ奥の部屋に入ると、アイスを食べている梨花がいた。


「お帰りお兄ちゃん。今日は遅かったね。美海さんとデートでもしてきたの?」


「いや今日は違うやつと遊んできたんだ」


「お兄ちゃんが美海さん以外の友達がいることに驚きだよ」


俺ってそんなにぼっちに見える?いやぼっちだったわ。美海以外の同級生以外話したことないな。かなえは中学の時に助けたらしいからノーカンだ。ぼっちでいてもそこまで苦痛に感じないんだよな。むしろ一人の時間が常に欲しいまである。


「まぁ俺にも美海以外の友達がいるってことだ」


「ふぅーんそれでその指輪は何?」


勘づくの早くねーか。まさか帰ってすぐばれるとは思わなかった。どう誤魔化すか。


「誤魔化そうしない方がいいよ。誰かとペアリングでも買ったんでしょ」


俺の妹が感がよすぎる件。仕方ない付き合ってることをいうか。いづれは言わなきゃいけないことだったし。美海には言わないでくれと頼めば言いふらしたりしないだろう。


「実は俺付き合うことになったんだ」


「え?美海さんが好きなんじゃないの?脈無しだと思って諦めたの?好きな人がいるのに付き合うなんてどうかと思うよ」


怒気を含んだ声で梨花は言った。やっぱり怒っているか。まぁ好きな人がいるのに付き合うなんて女子からみたら不誠実にも程があるからな。


「これには訳があってな。実は中学時代の窃盗したところを写真に取られて付き合わなきゃばらまくと脅されたんだよ」


「要するにそれを美海さんにみられると嫌われるって思ったてこと?」


「そいうことだな。かなえが飽きるまでは付き合うつもりだ。俺のことだしすぐに飽きるだろう」


「お兄ちゃんは噛めば噛むほど美味しいスルメみたいなものだからそれないと思うけどなぁー」


小声で何か言ったが俺には聞こえなかった。決して難聴系主人公になった訳じゃない。単に声が小さかっただけだ。出来れば数ヵ月で飽きて欲しいが。


「お兄ちゃんの彼女さんのことは応援できないなー。いくらかなわないからって脅すなんて。お兄ちゃんもそんなんで美海さんが離れると思っているの?」


そりゃ離れていくだろう。友達が犯罪者なんて普通は嫌だしな。彼氏にしたって自分の株が落ちるようなやつと付き合いたいと思うか。俺は友達が犯罪者だったら離れるだろう。好きな人は別だが。


「犯罪者が彼氏とか嫌だろう。周囲の目も気になるだろうし」


「お兄ちゃんがばらして欲しくないから付き合っているのは分かったけど、賛成も応援もしないからね」


「それは分かってる。むしろ応援された方が困る」


応援なんかされたら、付き合うなら誰でもいいということになるからな。梨花も俺のことを大事に思ってるからこそ、付き合うのには反対なんだろう。美海と付き合って欲しいと思っているかどうかはともかく好きになった人と付き合って欲しいとと思っているのだろう。


「とにかく早く別れることだよ。嫌われてでもね」


「分かってはいるんだが、策を巡らせても何も効かないんだよな」


しかもストーカーだから好みもあうし、しゃべりやすいんだよな。それに何事もプラスに考えてるいる節がある。俺がいうのもあれだがぞっこんなんだよな。


「はぁーお兄ちゃん嫌われるなら徹底的にやらない無理だよ」


詰めが甘いのは分かっている。だがどうしても俺を好きになってくれてるやつに本気で嫌われるようには動けないんだよな。こんな俺を好きになってくれたし。ストカーをするくらい好きでいてくれた。美海がいなければ喜んで好きになっているだろう。だが今の俺は美海が好きなんだ。なんとか別れられないだろうか。


「そうだな、離れていく策も練っていくわ」


まずはネットで嫌われる方法でも探すか。それと同時に本でも買うか。なんとしても美海にばれないようにしなければ。


「私は美海さんにこの事を言わなければいいんだよね。でもいつかはばれるよそのときはどうするの?」


「ばれないうちに別れるだけだ。かなえは美海の近くで行動を起こさないような気がするんだよな」


「それは嫉妬でもされて強引に動くことを警戒してるからだと思うよ」


「またなにか言ったか?」


「なんでもないよ。そういえばるんちゃんが音楽番組に出るらしいよ」


「なんだとるんだと、これは録画はしないと。何時からだ?」


「後4分ぐらいかな。お兄ちゃん落ち着いてそんなに早く録画をしようとしなくても間に合うから」


後4分だぞ。一分でも見逃したくないんだよ。俺のるん愛は誰にも負けない。もちろん恋愛的な意味ではないぞ。アイドルとして応援してるってことだ。





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