第128話

店にはいると注文を聞いてきたので俺は坦々まぜそばを頼んだ。ちなみにかなえも同じもの頼んだ。辛党なのか?まあまあ辛いと思うんだがここの坦々まぜそば。


席に座ると、水はかなえが入れてくれた。こいう気遣いもてきるんだな。恐らくもてているのもそれが要因だろう。男を勘違いさせそうだし。


「ここの坦々まぜそば結構辛いが大丈夫なのか?」


「大丈夫だわ。正弘くんが辛いの好きだと聞いて食べまくったからよ。蒙古ラーメンも食べれるレベルだわ」


蒙古ラーメンを食べれるのは驚きだ。あそこは結構辛いことで有名で、俺も最初食べたとき辛すぎて水を飲みまくったしな。辛党でもそうなるのだからかなえは相当の辛党だろう。


「あそこのを食べれるのは素直にすごいわ。梨花を一回つれていったが食べるのに時間がかかったしな。辛い辛いいいながら食べていたな」


美海を連れていったらどいう反応をするのだろう。甘党なのは知っているが、辛いのは分からないからな。普通に食べれたりして。だとしたら俺の好きなラーメンを紹介できるんだが。


「私もナンパされて少し時間を食ったわ。なんでアニメイトもそうだけど男が多いところに女子が一人でいくとナンパしてくるのかしら」


そりゃ男からしたら男が好むものに女子が好んできたらいけると思っちゃうんだろう。俺も美海を好きになる前、アニメイトに可愛い人が一人できていて、好んでるアニメも一緒だったから話しかけたらキモいとかいわれたな。なんか思い出したら悲しくなった。


「たぶんモテないやつが好きなのが一緒だったらいけると思うんだろうな」


「そいうものなのね。女子だったらジャニーズ好きな男がいても話しかけないと思うんだけどね」


そりゃジャニーズ好きにはモテるやつも結構いるし、何よりイケメン好きだからな。好きなものが一緒だからってイケメンでもない限り話しかけないだろうな。


「まぁジャニオタの男はあまりいないからな。ナンパ目的でジャニーズ好きを公言してるやつはいそうだが」


俺のクラスのナンパするやつの何人かはジャニーズの知識をそれなりに持っているやつもいる。だからジャニオタ目当てのナンパ師もいるってことだ。ナンパするやって中途半端なイケメンが多いからジャニオタが相手しないだろうが。


「私のクラスのジャニオタによく話しかけているクラスメイトがいるわね。ジャニオタの友達としか思ってなさそうだけどね。本当男って節操ないわね」


それは無念だな。ジャニオタの彼女を作ることはジャニーズとは関係ない部分で魅力的じゃないと無理ってことか。まぁジャニオタなら一緒にジャニーズを楽しめるっていう利点もあるが。


「お待たせいたしました。坦々まぜそば二つです」


「ありがとうございます」


「それじゃ食べましょう」


『いただきます』


辛さが麺と絡み合って美味しい。麺もこしがある。やっぱ並ぶだけのことはあるな。隣でかなえも見ると美味しそうに食べている。はぁー美海との行きつけの店にしたかったんだが、無理そうだな。


やがて食べ終わった。ふぅー美味しかった。大盛りにして正解だったな。昼食べていなかったし。梨花が今日は寝坊して弁当がなかったのと、四限目は数学で寝ていたから昼休みはなにも食べていないのだ。


「美味しかったわ。さすが全国レベルって所ね。今度は冨田に行くわよ」


冨田かあそこはたしか予約を取っても四時間待ちとかするらしいな。まぁ時間はどっかで潰せばいい話だが。この辺には時間を潰せる場所がたくさんある。長時間待たされても問題ない。


「今日はもう帰りましょう。久々に楽しい日々を過ごせたわ」


「俺は疲れたがな」


ここで楽しいいわず俺は遠回しに楽しくなかったということでかなえを残念がせる。そうすればこいつ最低なやつだと思われて幻滅するだろう。


「そうなのね、まぁ次回は楽しいデートをしますればいいわね」


そう可憐な笑顔でかなえは微笑んだ。あれ全然へこたれてねーじゃん。メンタル強すぎだろ。それとも予想通りってことか?愛想尽かされるまで時間がかかりそうだ。


「かなえ家何処だ?送っていくぞ」


この時間に女子を一人で帰らせるのは危ない。

だからたとえ好きでなくても彼氏なんだから送るべきだ。梨花にも同じことをいわれるだろうし。いやその前に好きでもない相手と付き合うなんて最低だよと言われそうだが。


「ありがとう。家は馬橋なので正弘くんの家の近くよ」


何で俺の家知ってるの?あ、ストカーだからか。よくなにも今まで仕掛けてこなかったな。嫉妬をするというより、自分に自信を持っていて振り向かせてやるってという感じなのか。


「馬橋な。分かった」


俺達は改札に入りホームで電車を待っていると、ふいにかなえが言葉を溢した。


「やっと付き合えたわ。ふふ、咄嗟に動画を撮って正解だったわね」


俺はそれを聞いてない振りをしながら何をされても盗むんじゃなかったと思った。きっと美海はこの事を知ったら幻滅されるだろう。そして俺はいつかかなえを好きになるのか。それともかなえから飽きだして捨てるのか。俺は記憶が失くなれば、こんなに悩まなくてもすむのだろうかと思った。


馬橋に着くと、かなえはこっちよと誘導してきたのでかなえの隣を歩きながら物思いにふけた。いつか偽物が本物に変わるのか。偽物のままなのか、出来れば偽物のまま別れたいと思った。







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