第103話

やがて曲が終わり、座っていた人もスタンディングオーベーションで拍手をした。俺ももちろん拍手をする。美海もこれが声優なんだと呟きながら拍手をしている。


この後物販に俺達は行きCDを買った。CDを買うと握手券がつくらしく俺は握手券をもらい列並んだ。もちろん美海も並ぶ。この人数だと握手と一言を言って終わりだろう。


順番が回ってきたので俺は土生ちゃんの手を握った。るんに負けないぐらいすべすべしている。


「今日は来てくれてありがとう」


「たまたまテラスモールに来ててな、初めて曲を聞いたが、しっとりとした曲調に合っていて何回も聞きたくなるような曲だったぞ。俺も声優を実は目指しているから大いいに参考になった。後声が可愛い」


「頑張って練習したから誉めてもらえて嬉しいよー。現場でいつか会えるといいね」


すると、屈強な男が時間ですと言ったので、俺は手を離した。美海と合流すると美海は声優にもっと憧れを抱いてるようだった。美海が声優についてもっと詳しくなったらいいな。目指すのに知識があった方がいいし。


「声優ってアイドルみたいだね」


「今は声優アイドルっていう括りがあるくらいたからな。可愛いと大抵そっち方面に行く事になる。美海はもちろん声優アイドル志望だよな?」

 

すると美海はもちろんだよと言って笑顔を見せた。可愛い、美海の笑顔はどこの業界に行っても通用するだろう。


「私この前声優の専門学校に入ったんだよ。マスタークラスにね」


「AMGか、しかもマスタークラスって一番上じゃん」


「この時期は募集してないみたいンだけど、この間スカウトしてくれた人が推薦してくれてはいれたんだー。マスタークラスにはいれたのはコネじゃないよ」


俺も一時期アヴァロンに入ってAMGを目指していたが、マスタークラスは精励揃いですぐに所属できる実力があるやつが行くクラスだと聞いている。


「すごいな、俺もスクールに入ったから本格的に声優を目指すぞ」


もちろん入ったのは前入っていたアヴァロンだ。あそこの講師は教え方がうまいからな。最終的にAMGに入る予定だ。もちろんマスタークラスにな。だから今年は技術を磨く。


「頑張ってねー。じゃあ靴見に行こう」


「そうだな、美海ってハイヒールははかないのか?」


「はくよ。だけど今回は学校に行くための靴だからスニーカーなんだよ」


思い出してみると確かに美海とでかける時はハイヒールをはいていたな。だから俺と背がほとんど変わらないどころか少し美海の方が大きい。だけど急にしたから覗き込んで笑顔を見せるからアザと可愛さで悶えそうにもなったりしたな。


俺達はABCマートへと向かう。あそこならスニカーはかなりの種類があるからな。この辺じゃ一番でかいし。それに安い。学生の味方ってところだな。俺もよくここで靴を買っている。


ABCマートに着くと早速美海は靴を物色し始めた。


「やっぱ白のスニカーが制服に合いそうだから、白を重点に探そうかな?」


「白か、ならあれならどうだ」


そこに合ったのはシンプルなデザインをしたニューバランスの靴だ。白を基調としてNと大きく入った靴だ。俺でも知っているメーカーだし、何よりも歩き良さそうだ。


「これいいね、正弘くんセンスあるね」


まぁ梨香の誕生日に靴だったりアクセサリーは色々調べて買っているからな。それに俺は服のセンスも悪くはない。だが背が小さいせいで自分の好む服を着れないからお洒落をしていない。だがこれから美海の横を歩くにはそれなりの格好をしなくては美海が釣り合わないと言ってナンパしてくるやつが増えるから背が小さいなりにお洒落をしようと思った。美海に釣り合う男になるために。


「これにするよ」


「いいのかそんなに簡単に決めちゃって」


女子はひとつのものを選ぶのに時間をかけるものなんじゃないのか。梨香とかめちゃくちゃ時間かけてひとつものを選ぶぞ。服とか特にいろんな店に行って決めるからな。


「せっかく正弘くんが選んでくれたからね。大切な友達なんだから笑んでくれて嬉しいんだよ」


友達としてのが引っ掛かるが、大切といわれてめちゃくちゃ嬉しく感じる。いつか彼氏として大切と言われるように頑張ろう。美海はどれかなーとか言いながら番号を探して、見つけたあとサイズを確認してそれを取って会計しに行った。


俺は自分の厚底シューズを探しに行った。五分くらい探して見つけることができた。高さは8センチかこれなら171cmぐらいいくな。これなら普段から美海と一緒に歩くと、上目遣いで見てくれるわ。


俺は値段を見ないでこれをレジに持っていき買った。俺は即断即決でものを決める。じっくり考えてもどのみち最初のものを買うことになるしな。


「正弘くんも買ったの?」


店の外に出ると美海が話しかけてきた。美海は俺が買うまで外で待っていたようだ。まぁあんまり待たせてないから問題ないだろう。さて次は俺の服を買いに行くか。


「ああ、背がコンプレックスでな。厚底シューズを買った」


「私は背が小さくても気にしないよ。あんまり気にしすぎなくても彼女はできるよ」


美海に背が小さくても彼氏としては問題ないということか。ということは俺も恋愛対象に入るってことか。それならいっそう自分磨きをして美海にかっこいいと思われるようにしよう。







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