第99話

俺達は教室に戻り、喫茶店の準備をする。ちなみに劇で出た料理はこの喫茶店で出る。つまりラーメンも喫茶店なのに出るということだ。このラーメンはラーメンオタクのクラスメイトが出しから味をとっている。将来はラーメン屋を開きたいと言っていたな。


いよいよ18分ぐらいの準備が終り、開店をした。するとたくさんのお客さんが入ってきた。


「いらっしゃいませ、ご注文をなにになさいますか?」


俺は呼ばれた方向に向かって、そこで注文をとる。


「鶏ガララーメンでお願いします。後すいませんチェキをひとつお願いします」


まさか俺のチェキが入るとはな。俺もイケメンになったということか。俺はチェキ係りに一枚入ったと頼み、頼んだ女子と一緒に写真をとる準備をする。


「何か要望はありますか?」


「ハートマークを作ってお願いします」


俺は女子とハートマークを作り、チェキをとった。そしてそのチェキを女子に渡すと満面の笑みでありがとうございますと言ってきた。それからチェキを何枚もとって俺は思ったよりも疲れた。


「お疲れ~正弘くん」


「雪穂か、正直こんなに働くとは思わなかったわ」


「まぁ元がいいからね~。しかも私が切ったしこんなに人気が出てもおかしくはないよ~」


俺は美海を見る。まだ忙しく笑顔を振り撒いて接客をしている。お客さんは美海と写真を撮って顔を真っ赤にしている。まぁ美少女だしな。あのレベルは握手会を開いてもおかしくない。


「私もチェキ頼むよ~」


「今日は俺のおごりだから好きなものを頼んでいいぞ」 


「やったね~。じゃぁこのパスタとカフェラテで」


「分かった。チェキ撮るのなにか要望はあるか?」


「手をつないでピースして~」


俺はチェキ係りを呼んだ。雪穂は立つと、手をつないで満面の笑みでチェキを撮った。なかなかいい笑みを俺も浮かべられたな。雪穂といるとまぁまぁ安心する。美海といるほどじゃないが。


「んじゃーパスタ来るの少し待ってくれ。というかわざと昼時を過ぎたこの時間にきたのか」


「まぁね~。昼時だとゆっくり会話できなさそうだし。そろそろ休憩でしょ」


何で知っているんだと思ったが、雪穂の友達が教えたんだろう。何故か雪穂の友達は親指を立ててるし。雪穂もそれに答えている。仲が良いようで何よりだ。だがせっかくの俺の休憩時間を雪穂につれ回されて終るのは困るんだが。


「大丈夫だよ~。一個しか行かないから」


それなら十分休めるな。っと休憩時間だな。昼は劇で食べたからすいていない。雪穂が食べ終るのを待つか。それにちょくちょく美海の視線がこっちに来るのだが。なんでだ?ガッツリは見られてないみたいだが。接客してるし。あ、チャラい大学生ぽい人がナンパしてるんじゃん止めないと。


「ちょっと美海のナンパを止めてくるわ」


俺は美海のもとに向かう。美海は困ったように対応している。


「後ろから抱きついて愛をささやかせてよ。後連絡先交換しようよ」


美海に滝佃とそれはチェキには抱きつくのは禁止と書いてあるはずだ。説明書を読んでいないのか。劇手美海を見てナンパしようとこの教室に来たのだろう。


「そこまですお客様。過度な接触は禁止されております」


「なんだお前、ああ劇に出てた陰キャ野郎か」


なんで陰キャたて分かるんだよ。雰囲気か?まぁ憑依してる間はそういった雰囲気を出してたから仕方がないか。あ、でも約関係なしに俺って陰キャだったわ。なにそれ悲しい。


「これ以上しつこいと風紀委員を呼んで大学に連絡させてもらいますよ」


「ちっ俺はもう帰る」


学生には学校に連らか刷るぞと脅せば大抵身を引く。大学に連絡すると親の耳にも入るからな。ナンパして迷惑をかけましたと連絡が行くと親は高校に謝りに来なきゃいけないし。高校生相手になにやっているんだとなる。というかナンパするやつってなんであんなに軽薄そうなんだか。


「ありがとう正弘くん。お礼に飲み物おごるよ」


「それはありがたい」


「それよりも菅井さんとどこか行くの?」


少し不安そうな顔をしながら聞いてきた。そんな顔をしなくても俺は美海一筋だから問題ないんだが。アザと可愛いという曲のように俺は美海のアザと可愛さにやられている。


「まぁな、休憩時間終わりまでには帰ってくる。これ以上美海と話していると仕事の邪魔にもなるしもう行くわ」


俺はこの場を離れるとパスタを美味しそうに食べてる雪穂を見た。周りの奴らも幸せそうに食べてる雪穂に見とれている。まあまそれだけ絵になるしな。美少女は何をやっても可愛い。


「こちらカフェラテになります。これは長濱さんの奢りなのでお代はもう払ってもらってますわ」


松永はそう言って雪穂を見る。 


「尾関くんはモテモテなのね。それじゃ私としては困るんだけど。長濱さんと付き合ってもらわなきゃ」


「君は森田くんが好きなんだね。ライバルはできるだけ減らしたいという落胆かな?まぁでも正弘くんは私の虜だから無理だよ?」


すると松永の目が二股やろうの屑やろうという目で俺を見てきた。誤解だ。俺は美海の虜にしかなっていない。むしろ美海しか好きにならない。あの笑うと目が細まる笑顔とか俺が独占したいし。


「俺は美海しか好きじゃないぞ。誤解を招く言うような言い方はやめろ雪穂」


「いつか虜になるんだから嘘じゃないでしょ~」


「私は長濱さんを応援させていただきますわ。それではこの後チェキがあるのでこの辺でおいとまさせていただきますわ」


刷ると松永はいかにもオタクって言う風貌のもとに行った。て言うか実際にはちまき巻いてるやつなんて始めてみたぞ。どんな人にも平等に接する松永は満面の笑みでチェキを撮った。あのお客完全に松永のファンになったな。


「食べ終ったよ~。そろそろ行こうか」


「分かった教室の外で待っていてくれ。会計をしてくる」


俺は会計をするために並んでいると、美海が来た。


「正弘くん、あまりいちゃいちゃしないでね。何かイライラするから」


嫉妬してくれているのだろうか。それなら嬉しい限りだ。美海の好感度は森田を抜けばトップに位置してるはずだ。ここだ雪穂といちゃいちゃして好感度を下げるような真似はしたくないから気を付けるか。どこで情報が流れるか分からないからな。


「分かった。まぁ俺がいちゃいちゃしたいのは一人だけだが」


美海はなにかを言いたそうだったが、会計の番が回ってきたので会計をして教室の外を出た。


















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