第98話

「ラーメン屋だけど店内もきれいだし、女性客が多いね」


「ここのラーメン屋は味はあっさりしてるからな。女性客に人気があるんだよ」


俺はこってりはあまり食べない。大体が辛口のラーメンかあっさり系の醤油ラーメンだったり鶏ガラスープのラーメンだからな。


俺はメニュー表をさきに渡す。するとさきはメニュー表を輝いた目で見ている。


「ここの写真どれも食欲をそそるような写真で迷っちゃうよ」


ここは綺麗さを大事にしてるから自ずとラーメンの写真も綺麗なのだ。ちなみにここは全国でもわりかし有名な店だ。鶏ガラスープでは全国トップ10に入るほどの店だ。


「まぁどれも美味しいからな」


「味玉鶏ガララーメンにしようかな」


俺は店員を呼び注文を伝えると、店員は厨房に向かった。


「ねぇ今度本にサインしてくれない?隆元くんのファンが友達にいるんだー」


サインか、俺は今まで顔を出してないから要求されたことはないからうまく書けるか心配だ。

だがまぁファンならどんなに汚くても書いたという事実があれば問題ないだろう。


「いいぞ、何て書けばいい?」


「名前を書いておけばいいんじゃないかな?」


「名前は何て言うんだ?」


「恵理加だよ」


「じゃー恵理加へこれからも応援お願いなっていいか」


「いいんじゃないかな」


そんなやり取りをしてるとラーメンがきた。俺達はいただきますと言ってラーメンを食べ始める。うんうまい。鶏ガラスープがきいていて美味しい。ふとさきを見ると美味しそうに麺をすすっている。よかった。口に合うようだ。


俺達は食べてる間は無言だった。それだけラーメンんが美味しいのだろう。俺もラーメンを食べるときは味を楽しむために無言になる。やがてラーメンを食べ終ると、さきはお腹を笑顔でさすって美味しかったと言った。


「もう時間か、残念だが今日はここで終わりだな」


「隆元くんといるとあっという間に時間が過ぎるよ。それだけ楽しいってことなんだろうね」


リップサービスか。そうだとして嬉しいものだ。俺といて楽しいと言ったのは妹ぐらいだったからな。


「んじゃ来月から半年頼むわ」


「うん楽しい青春にしようね」


そう言ってさきは改札を通った。俺はまだ少しみたいものがあるので秋葉に戻った。



夏休みも終り学校が始まる。いつもは蒸し暑くて鬱陶しい暑さだが、最後の夏だと思うとこの暑さも悪くはないなと思う。俺はさきに出会って死にたくないと思ってしまった。だが運命は変わらない。せめて死ぬ前にいい思い出をたくさん作りたいものだ。


俺は今自転車で学校に向かっている。死ぬんだから学校に行かなくてもよかったんだが、何故か天の声が聞こえて学校に行けと言われた気がしたので向かっている。


学校に着くと、俺は駐輪場で自転車を置き、教室向かった。来年大学どこ受けようかという声がろうかを歩いていると聞こえてくる。俺も本当は行きたい大学があった。だが余命は一年なので受けれないが。まぁそれでも習慣となった勉強はやめないんだが。一回でもいいから一教科で一番を取りたい。だが多忙で勉強時間をあまり取れない。


俺は教室に入ると、地味目な格好をして三つ編みにメガネをした女子と目があった。その子は何故か驚いた表情をして目をそらした。俺はその子を横顔をよーく観察する。


どっかで見たことあるような気がする。ぼっちは人の顔を覚えるのが得意なのだ。いつ話しかけられても準備してるからだ。何だか哀しくなってきた。


はっもしかしてあれはさきじゃないだろうか?

いやそうだ。あの儚げな横顔と目が大きくタレ目だから間違いない。そうと決まれば話しかけたいが、放課後にするか。あまり知られたくないことだろうし。


俺は授業中もチラチラとさきを見ていて、何回か目があった。あっちは俺がさきに気づいたことに気がついているのだろう。


そんなことをしてるとあっという間に放課後になりさきに話しかけた。


「さきであっているよな?」


「やっぱり気づかれちゃったか。地味な格好してるのによく気づいたね」


「ぼっちは顔を覚えるのが得意なんだよ。地味でもふとした雰囲気は変えられないし、顔のパーツだって変わらないからな」


「実は渚も同じ学校なんだよ。まぁ変装はしてないけど」


「どこかで見たことあると思ったら四大女神の一人の渚か」


クラスは一緒になったことないからしっかり顔を見たことがないから気がつかなかった。


「どうする?一年分の予約取ったしこの後どっか行く?」


「放課後に誰かと過ごすのは憧れていたそうするか」


「用意はできてるみたいだし行こっか」


「よかったら俺と2人乗りしないか。女子との2人乗り憧れていたんだよ」


「うんいいよ」


俺達の青春はここから始まると何となくこのときの俺は思った。


ここで劇は終了した。俺は舞台袖でお茶を飲む。ふぅ何とかうまくやっただろう。ちなみに続きは明日だ。森田はインフルらしいから明日はこれないから明日も俺が主人公をやる。


「お疲れー。なかなか自然な演技だったよ。才能あるように感じたよ」


「美海こそ俺の思い描いたさきのまんまだったぞ」


「どちらも演技うまかったわ。悟志が来ないときいたときはどうなるかと思ったけど、何とかなりそうね。これなら最優秀賞も取れるんじゃないかしら」


「明日次第だろうな。面白くなるのは明日だし」


俺の書いた小説も売れるといいんだが。教室でコスプレ喫茶をしてる入り口の横で売っている。ちなみにモテルとなった学校は東葛高校だから普段は私服設定だ。だがディズニーは制服ディズニーという設定なのでわざわざコスプレ用の制服を東葛高校から買った。


「さぁコスプレ喫茶も頑張るわよ。きっと私の制服姿を見てチェキを取りたい人が群がるわね。いい小遣いになりそうだわ」


チェキの半分は本人に入るようになっている。だからチェキを取っただけお金が入ってくるのだ。


「ナンバーワンは美海だと思うがな」


普段履かないミニスカートを穿いているのだ。スラッとはしてないが肉付きがよくスベスベそうな太ももが露になっている。俺も一緒にチェキを撮りたい。


「負けないわよ長濱さん。悟志のことも」


「私だって負けないよ。ナンバーワンを取って悟志くんとデートするんだから」


何故かナンバーワンになった人は森田とデート行くことになっている。本人の了承は得ている。美少女に求められる森田に俺は嫉妬心を抱いた。












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