第76話

これか明治時代の蔵か。白を基調として美しい。やっぱ明治時代の建物って西洋風で石を使って入るから耐久値も高いし、色の塗りかたも綺麗なんだよな。もちろん和風の建物もシンプルで好きだが。


「白い建物か~。大工さんもよくあの時代に長く使える建物を建てれたよね~。しかも美しいし。こんなに綺麗だと建物を見るだけでも来た甲斐があるよ」


「まぁそうだな。とりあえず中には入ろう」


今は夏真っ盛りで外は暑いのに、長時間歩いて汗がたくさんでてくる。早く冷房の効いた部屋で休みたい。元々は蔵だが冷房自体は着いてるはずだ。


「そうだね~。お腹空いたし早くは入ろっか」


俺達は店には入ると、お昼時は過ぎたはずなのにひとつしかテーブルは空いてなかった。まぁそれだけ人気ってことなんだろう。出てくる料理にも期待がができそうだ。ここはスイーツも美味しいらしいし、頼んでみるか。給料も入ったし。


俺達は空いてる席に腰かける。すると店員さんが、こっちに来た。ん?あれって松永じゃん。

まさか松永はここでバイトをしているのか。個人店だしバイトを雇っているような感じはしないが。


「お客様ご注文は、、、、尾関なのね。まさかうちの店に来るなんてなかれやま散策でもやっていたのかしら」


「知り合いなの?」


俺の学校生活をある程度知っている菅井は少し警戒するような顔で俺に聞いてきた。安心しろこいつは森田が好きだから、俺なんて相手にされてない。


「そんな警戒しなくてもいいわよ。私の好きな人は別な人だから」


「へぇーかわいいし。森田って人が好きなのかな」


「な!違うわよ。なんであんなにイケメンでもない人を好きにならないといけないのよ!」


おいその反応だと好きっていっているようなものだぞ。好きなことに気付いてない人は森田くらいだしな。それにしてもかわいい人にすかれやすいと菅井に言ったことがあるがまさか当てるとはな、驚いたわ。


「とりあえず注文はなにかしら?」


まだ少し赤い顔をしながら松永が聞いてきた。

うーんお任せデリプレートにしようと思ったが、あそこでお客さんが食べている牛すじカレーが美味しそうなんだよなー。牛スジカレーにしよう。


「牛スジカレーで、おすすめのスイーツとかってあるか?」


「リンゴとみりんのバターケーキはおすすめですわ」


「じゃー後それで」


「私も同じので~」


「かしこまりました」


するとキッチンの方に向かった。まさかまたバイトしている知り合いに出会うとは、遭遇率高すぎだろ。まぁ松永は森田が好きだからトラブルにはならないだろうが。


「森田って人そんなに魅力的なの?」


まぁ気になるよな、あれだけ美少女にモテまくっていたら。だけど俺にはなんであんなにモテるかは分からない女子しか伝わらない魅力でもあるのだろうか。でも森田普通ぐらいの顔面偏差値の人にはモテないんだよな。やっぱ主人公補正がかかっているんだろう。


「俺には分からないな。優しくはあるんだが」


俺は直接優しくして貰ったことはないけど。たってあいつ漢には興味ないのか、男と話してるところをほとんどみないんだよな。なのに謎の信頼感がうちのクラスには蔓延している。


「へぇー主人公ってやつかね~」


「やっぱ菅井もそう思うか。俺もアイツが神に愛された人間なんだっていうのは分かるんだが」


「お待たせいたしました。牛スジカレーです」


『ありがとう』


声がハモったな。俺と菅井は相性がいいのだろうか。いやたまたまだろう。俺と相性が良いのは美海だし。むしろ美海しか愛さないまである。


「なぁー松永。今日演技の練習しなかっのか森田と」


俺はこの時間に働いているのを疑問に思い聞いてみた。だって演技の練習をしてたらここで働いてる時間はないはずだからな。二人きりは不味い。絶対に良いムードになる。


すると松永は不服ですというような顔をした。


「そうよ、悟志君が今日は美海と二人きりで練習させてくれといわれたのよ」


まさか森田がそう言うって自分の気持ちに気付き始めたのか。それとも無意識か。後者の方を祈るしかないな。森田が自分の気持ちに気付いたら美海と付き合うことになる。それはいやだ。せっかく仲良くなってきたのに努力が水の泡になる。


「できるたけアタックを頑張ってしてくれ。今のままだと取られる」


「分かっているわよ。尾関くんだって美海にもっとアピールをしなさい。いいところまでいっているのだから」


松永辛みてもそう見えるか。てことはやはり俺に対しての好意が上昇してるってことか。ここまで来たんだ森田に負けるわけにはいかないな。 


「個人的には森田って人に長濱さんを取ってもらいたいんだけどな~」


「やはりあなたはそいうことね。でも長濱さんは尾関くんのものだわ」


バチバチと視線で火花を散らす。なんでたがいに嫉妬してるわけでもないのに火花がちるんだよ。他人に対しててここまで喧嘩腰になるやつは始めてみるぞ。


「まぁいいわ。私は絶対に悟志くんを落としてみせるわ」


「私だって正弘くんを落とすよ~。誰にも負けないからね~」


二人は視線でにらみ合う。もっと仲良くして!

俺はどっちかというと松永の味方だ。なぜなら松永落としてくれれば森田と美海が付き合う可能性なくなる。そうすれは有力なライバルはいないから時間を使って落とすことができる。


そう思いながら俺は冷めるぞと菅井に言ってにらみ合いを止めた。







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