第64話第2章
デートから二週間が経って終了式が終わった。明日から夏休みが始まるんだが、俺達の学校は文化祭が夏休み明けにあるため文化祭の準備期間になる。夏休みなのに学校に行かなくてはならないのだ。俺はめんどくさく感じるが、この学校は文化祭が盛んのため進んで準備をする生徒が多い。そして今は文化祭の役決めである。ちなみにうちのクラスは劇とカフェに決まった。カフェは劇にでてる人たちの格好で接客するというものだ。
「じゃーみんな主人公は悟志でいいな?」
すると満場一致で主人公は森田に決まった。森田は照れ臭そうに頭を掻いている。問題はヒロインだ。この役は森田好きの人が火花散らしている。もちろん美海もだ。
「ヒロインやりたい人」
森田のことを好きな人が複数手を上げる。さてどうなることやら。できれば美海にはヒロインをやって欲しくないが、だって森田が美海のことを好きなことに気づくかもしれないし。何よりさらに絆が強くなったらそこにはいることが難しくなる。
「じゃーじゃんけんて決めよう」
すると黒板の前に手を上げたやつは集まった。こう見てみると相変わらず美少女ばっかしだな。どうやったらこんなに美少女にもてるんだよ。というかこのクラス美少女多すぎ。学年でも上位にはいるやつがたくさんいる。しかもみんなが森田が好きなんだよな。
『じゃんけんポイ』
ここからじゃ見えないが、美海が喜んでいるのが見えたので美海が勝ったのだろう。やっぱりメインヒロイン感のある美海なのね。これで絆が深まる。はぁー美海と付き合う夢がまた遠くなった。
「じゃーメインヒロインは美海で決まりだな。後は脚本と準備する人を決めるか」
すると美海が戻ってきて俺に目配せをした。あ、これは脚本書くのに抜擢するつもりだな。そして恐らくだが美海と森田がラブラふできるような脚本を書いてってことだな。不本意だが、美海に頼まれたなら仕方がない。
「斎藤君、正弘くんはプロの作家だから任せてみたら?」
するとクラスじゅうがざわつく。まぁ美海と梨花しか知らないしな俺がプロの作家てことを。まぁ友達が少ないから仕方ないんだが。あんな陰キャが作家なのかきっと自分のやりたいことを書いているんだよというのやめろ。俺が妄想を自分の都合のいいように書いてるみたいだろ。まぁそいう要素もなくはないが、ちゃんと読者に寄り添っているぞ。
「じゃー尾関頼むぞ。最優秀賞はお前の腕にかかっているぞ」
「分かった。最善は尽くす」
それで衣装作る人か決められホームルームは終わった。すると松永がこっちに近づいてきた。
なんだ?俺にもう一人主人声とイチャイチャできるキャラをだせというのか。
「尾関さん主人公に距離の近い人をだしてくれないかしら?」
ああやっぱりかどんだけ森田が好きなんだよ。まぁこっちからしたらありがたいが。だって他の人もアピールするってことは美海から目移りをするってことだからな。それに俺の考えてる作品は仲がいい人をにとりだす予定だ。
「ちょうどよかった。一人だす予定だったからな。まぁその一人になれるように頑張れよ応援してるわ」
すると松永は驚いたように目を見開いた。なに俺が作品を考えないで安請けしたと思っているのか?さすがに構想がなきゃ受けないよ。一週間ぐらいじゃあれこれ一から考えるには足りないからな。
「もう練っているのね。さすがプロってことかしら。サブヒロインは私の美貌で勝ち取るわ」
自分でいうのかよ。確かに美少女だと思うが。
まぁ美海には叶わないけどね。後俺は好きな相手とその人が好きな人がでてようが妥協はしないぞ。プロとして。まぁさすがにキスシーンはいれないがそれに近いことはさせる。だから嫉妬をして作品を壊すのだけはやめろよ。
「まぁ頑張れとしかいえないが。俺にキャラが誰をやるかの権限はないしな」
「あなたも頑張りなさいよ。美海の事が好きなんてしょ。有力なライバルは減るに越したことはないわ」
まさか気づかれてるとはな。今度は俺が目を見開いて驚いたわ。そんなに美海のことをチラチラと見ているか?それとも話しているときの表情でか?
「まぁ俺は本気だからな頑張るわ」
するとじゃぁねとやって森田のほうに駆け寄っていった。尻尾があったらブンブンと振っているだろう。あいつツンデレかと思ったが、好きな相手じゃないと普通なんだな。ツンデレってみんなそんな感じなのか?
そんなことを考えてると隣から美海が話しかけてきた。席替えをして奇跡的に美海の隣になったのだ。隣の席になったときは思わず叫びそうになるぐらいだった。
「正弘くん脚本受けてくれてありがとね」
「まぁ得意だからな。後新作のいいお披露目になるし。一応小説のほうもカフェで売る予定だ」
まぁ出版社に言って賛成の意を貰わないといけないが。契約してる分、独断では動けないからな。まぁたぶん大丈夫だろう。いい宣伝になるし。俺の名前は本名なのに知っている人が少ないほど無名だからな。
「売れるといいね。後正弘くんがだしている本読んだよ。罰ゲームで告白をしたのにだんだん惹かれていくヒロインが印象的だったなー」
「まぁヒロインのモデルは美海なんだけどな」
「嘘!私あんなに可愛くないよ」
なに言っているんだ美海ほど可愛い女子などいないと思うんだが。まさに日向坂のキュンの歌にぴったりだな。本にはその可愛さを気づいていないところとか。
「美海は俺が見てきたで一番可愛い。ラノベのヒロインのモデルになるくらい」
すると美海は顔を真っ赤にしてうつむいた。プシューと湯気がでているように感じる。実際はでてないが。それくらい照れてるってことだ。
「もう、好きになりそうだよ。そんなこと言われたら」
凍えてボソボソとなにかを言っているが俺には聞こえない。まぁ照れてるし悪いことは言ってないだろう。俺はなぜか美海の頭を撫でたくなり撫でた。すると美海は気持ち良さそうに目を細めた。拒否はしないんだな。それだけ好意があるってことか。後もう少しだな。俺はそう思いながら美海の頭をしばらく撫でていた。森田には奇跡的に気づかれなかった。
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