第43話

「お兄ちゃん一通り持ってきたよ。きっと似合うはずだから試着室で着てみて」


そう言って服を一式渡された。俺はおしゃれに疎いからどれがどんな名前の服だか知らないが、梨香の選んだ服には外れがないと思っているから分かったと言って試着室に入った。


着替えて鏡を見た。なかなか様になっているのではないかと感じる。やっぱりおしゃれは梨香に任せれば問題ないな。俺はそう思いカーテンを開けて梨香に見せた。


「うん、やっぱり似合っているよ。チェスターコートて一気に大人っぽく感じるよ」


「よしこれは買いだな。後は靴か」


「ABCマートで買おう。あそこなら色んな種類かあるし」


「そうだな。移動するか」


俺達は会計を済まして、Right-onを出た。しばらく歩くと甘い香りがしてきた。カフェか。今甘いものをものすごく食べたいんだよな。昼食もまだだし。


「ABCマート行く前にカフェに行かないか?」


「いいよ、私もちょうどお腹がすいてたからね」


俺達はサンマルクに入った。昼時だがみんなフードコートのほうに行くからすぐに注文できそうだ。少しの時間並んで、順番が回ってきたので注文をした。


俺達は注文をした料理が来るまで立って待っていた。少し経つとそれらが運ばれてきて、俺達はそれぞれ持って、席に座り食事を始めた。


「親父にLINEしたか?」


「うんしたよ、俺はまだ気に入った帽子がいくつかあって悩んでいるから映画でも見て時間潰してくれだって」


「相変わらす帽子にこだわりがあるんだな。俺からしてみれば服に合えばなんでもいいと思うんだが」


「私もそう思うなー」


親父はあんまり実は帽子を持っていない。こだわりがあるのにだ。親父曰く本当に気に入ったのしか買わないからだと言っていた。折角買ったのに埃を被るのはもったいないからだと。まぁこの事は分からなくもない。俺も無駄には買わないタイプだからだ。


「映画何を見るか決めているか?」


「鬼滅の刃が流行っているだよね。それを見よう」


まぁ梨香はリア充だしな。流行りものは押さえておきたいのだろう。会話のネタになるし。俺も鬼滅の刃はアニメを見てはまった口だからそれには賛成だ。鬼滅の刃のアニメは神作画だと思う。


「そうだなそれにするか」


俺は食べなから視線が集まっているのを感じた。さすが梨香レベルの美少女は男の視線を集めるな。俺には嫉妬の視線が向けられる。まぁ付き合ってると思われているのだろう。まぁ俺たちの仲は兄妹にしては近いからな。


俺たちは食べ終わると、ごみを片付けて、映画館に向かった。鬼滅の刃楽しみだな。泣けるって聞くし。


「お兄ちゃん鬼滅の刃楽しみだね」


「そうだな。アニメは面白かったし期待は大だな」


映画館に入ると、俺たちは並んだ。休日なだけあって混んでいる。その間に何を映画館て食べるか考えておこう。10分ぐらい並んでいると順番が回ってきた。


「カップルのお客様ですか?」


「いえ」


「はいそうです、あと学生証です。ほら正弘くんも出して」


俺は視線でなんて嘘をつくんだよと訴えたが後で説明するからと返されて学生証を出した。 


「はい確認いたしました。カップルのお客様はドリンクが無料になります」


「じゃ私はオレンジジュースとポップコーンのキャラメル味で」


「俺はオレンジジュースとチュロスのチョコ味で」


「かしこまりました。少々お待ちください」


俺たちは横にずれると、はぁーとため息を吐いた。嘘をつく理由は何となく分かったが、別に飲み物ぐらい有料でも大したことないだろう。

俺なんかとカップルだと思われるほうが恥ずかしくないかと思った。


「安くなるとはいえ、嘘ついていいのか?」


「お兄ちゃん変なところで正直者だよね。嘘はばれなきゃ嘘にならないからいいんだよ」


それ他の男ともやってないよな。勘違いするやつがわいてくるぞ。俺も妹じゃなきゃ勘違いをしているだろう。それだけ梨香は勘違いをさせる言動や行動が多い。これか小悪魔ってやつか。


「心配しなくても大丈夫だよ。こんなことお兄ちゃんとしかやってないし。さすがに違う男の子とカップルに見られるのは嫌だしね」


それなら安心だわ。さすがに見ず知らずとはいえ勘違いをしてるやつがでてると可愛そうだからな。まぁでも普段の行動ででてるやつがいるかもしれないが。それは仕方がない。


俺達は頼んだものを受けとり映画館に入った。

うわーすごい人がいる。上映されてからそれなりに時間が経っているのにだ。リピーターが多いのか。


俺たちは指定の席に着くと、映画まではまだなので梨香と話をしていた。


「お兄ちゃんの推しって誰なの?」


「しのぶだな。あの優しく毒を開発するほど頭がいいところがいい。あとは自分を犠牲にしててでも鬼を殺そうとする執念とか」


「あと可愛いところもでしょ、お兄ちゃん結構面食いだし」


俺は面食いじゃないと思うんだが。あれでも美海を見た瞬間にビビッときて一目惚れしたんだっけ。それじゃー面食いじゃん。まぁ性格も知ってもっと好きになったんだが。


「そうだな、しのぶの美少女ぷりはアイドルにも負けないからな」


それにしても家族連れが多いな。それだけテレビでのPRがうまくいっているのだろう。まぁ戦うシーンとか迫力満点で子供が好きそうだしな。始まるみたいだな。俺は集中して画面を食い入るように見た。
























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