第34話
梨香と細川の会話を聴きながら俺は話しを振られたら適当に相づちをうっていた。女子同士の会話に入れるほどコミ力は高くない。だからこれがベストポディションなのだ。
「ま、お兄さんってどいうタイプが好きなの?」
まだタメ口にはなれていないようだ。まぁそのうちなれるだろう。それより好きなタイプか、考えたこともなかったな。強いていうなら長濱さんみたいなタイプだろうか。
「そうだな、優しくて、美少女で、頭がよくて、目標に向かって一生懸命頑張ってる人かな」
「うぅ、私美少女じゃないし、頭もよくないよぉ」
「なに言ってるの?零華は美少女だよ。お兄ちゃんもそう思うよね?」
目でそうだと言えと梨香が訴えかけてくる。訴えなくても美少女だと思っているから安心しろ。でもなんで俺の好きなタイプを気にしてるんだ?今後の男との関わりかたの参考になるからか。
「美少女だと思うぞ。学年でもトップクラスだろ」
「う、嬉しい。男の子に美少女なんてはじめて言われたよ」
細川の周りはうぶな男が多いのか。ものにしたければ美少女だと誉めればいいのに。まぁモテルやつは落とせなそうな女子には特に話しかけたりしないからな。恐らくモテない男が勘違いしてコクっているのだろう。意気揚々と告白して振られるってなんだが可哀想だな。
会話をしていると、駅に着いた。恐らく梨香はここで離れるだろう。
「じゃーお兄ちゃん零華をよろしくね」
すると梨香は先頭車両に向かっていった。さて何を話すか。どんな本を読んでいるか気になるし聞いてみるか。
「細川はどんな本を読むんだ?」
「ら、ラノベです。女子がラノベを読むなんて変ですよね」
変か、別に変だとは思わん。梨香も俺の持っているラノベを読むし、長濱さんだって興味を持っている。原作がラノベの漫画を読んでいるし。菅井だって読んでいる。俺の周りは結構興味を持ってるやつはいる。まぁ知り合い事態が少なすぎて参考にならんが。
「別に変だと思わんぞ、ラノベは確かに男向けで女子はあまり読まないが、世の中には美少女が好きな女子だっているんだ。それにどんなものに興味を持とうがそれをバカにする資格は誰ももっていない。俺もラノベか好きで、むしろ女子と話せることに喜びを感じるまである」
すると細川は自嘲気味の笑みから、ニコニコした笑みに変わった。なんだそんな笑顔もできるんだな。俺と話すとき無表情か多かったから楽しくないのかと思っちゃったわ。
「私初めてラノベか好きてよかったっと思ったよ。だってお兄さんと話せますから」
そう言われたら勘違いしちゃうぞ。そして告白して振られるまである。いや振られちゃうのかよ。まぁ好きな人は長濱さんだから仮にも告白はしないが。
「そうかそれはよかった」
にしても俺とは普通に話せるな。あとはどう他の男とも話せるようにするかか。森田後友達ならば頼むのだが。どっちかというと俺は森田には嫌われているような気がするから頼めない。
かといって頼める友達はいないからなー。
「お兄さんはラノベ以外も読むの?」
「まぁ読まなくはないな。堀辰雄さんの美しい村とかライト文芸はちょっと読むな」
堀辰雄さんの風立ちぬは心情模写が秀逸でなかなか面白い。他の純文学と違ってストーリが重視されてるからな。しかもフィクションようなノンフィクショだからかんどうもして思わず読んでいると生きてくれと思ってしまうほどに感動した。
「確かジブリでアニメ化したやつですよね」
「そうだ、あれは戦争中のなかで二人の絆と強さを感じた映画だった。まぁ原作とは大分違うんだけど」
原作は堀辰雄さんがモデルになっているしな。だがどちらも胸が締め付けられるような気持ちになるのは変わらない。やっぱ宮崎駿さんって天才だわ。
「へぇー今度みたいな」
「俺の家にDVDあるから貸すよ」
俺は気に入った作品は必ずDVDを買っている。いつでも見返せるようにだ。やっぱ面白い作品は何度見ても面白い。そのせいてお金がないんだが。アイドルグッツも買うし。
「ありがとう!」
すると電車が来たのて俺たちは乗った。空いてる席をキョロキョロと探していると車両の端が空いていたのでそこに隣同士で座った。大分なれてきたな。
「男性恐怖症治せそうか?」
「まだお兄さんとしか話してないから分からないよ」
そりゃそうか、俺相手だと最初っからそこまで嫌悪感はでていなかったし。また分からないか。下心を持たない男友達でも作って細川に会わせてみるか。
「そうか、テストはどうだった?」
「60点ぐらいだよ。大体平均ぐらい。お兄さんはどうだったの?」
「まあまあだな。日本史が満点、フランス語が90点数学が60点ぐらいだろう。数学はめっちゃがんばったわ」
すごいよお兄さん、私何この学校入ってから平均点しか取ったことないよ。やっぱりお兄さんのお眼鏡にはかなわないのかなぁー」
最後の方なんて言ったか聞こえなかったが大したことは言っていないだろう。消して俺が難聴主人声になった訳じゃない。本当に小さい声だったから聞こえなかっただけだ。
「文系なら教えられるぞ。文系は成績トップクラスだから」
「いいのお兄さん、それじゃー明日やる古文教えて」
図書館に行ったときに少し勉強するか。というより前屈んでいるから距離が近い。めちゃくちゃローラのいい匂いがする。だが本人は男に近距離担っていることに気づいてないようだ。
「細川近いぞ」
すると顔を真っ赤にして離れた。友達相手だと興奮すると距離が近づくのだろうか。まぁ他の男にはやらないだろうし、特に注意するほどでもないな。
「ごめんなさい、興奮すると距離感がおかしくなっちゃうんだ」
「別に謝るほどのことでもないぞ。信頼されてるって思って悪い気分じゃなかったし」
しかもいい匂いまで漂ってきたしむしろごほうびだ。足とかも当たって柔らかいなと思ったし。俺は足フェチなのでたまにナデナデしたい衝動に駆られる。まぁ我慢するんだけど。
すると馬橋駅に着いたので、俺達は降りることにした。太陽がこれからいく道を照らしていた。
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