第33話

テスト終わったー。数学は六十点は固いだろう。これも長濱さんと足利のお陰だわ。長濱さんと足利には足を向けて眠れないな。


「うわーまた赤点だよ。もっと真面目に勉強すればよかった」


森田が机に突っ伏しながら言っている。いやお前は休み時間も放課後も長濱さんに教わっていたじゃねーか。もしかして復習をしてないのか。ありえそうだな。


「今度は私が教えてあげるわよ。きっと長濱さんより分かりやすいわ。でもこれは悟史のためじゃなくて知り合いが留年するのを防ぐためなんだからね」


うわーツンデレかよ。松永相変わらずだな。長濱さんは話しかけたそうだが話していないな。あいつのこと苦手なのか。松永が話している時は長濱さんは近づかないからな。俺も分からなくもないあいつ傲慢だからな。


「美穂より成績がいい私の方が分かりやすいですよ」


今度は斉藤か、あいつら揃いも揃って美少女だ。このクラスの顔面偏差値ばくってないか。

特に女子。しかもその大半が森田が好きっていう尋常ぶり。さて俺は長濱さんのところに行きますかね。まぁ隣なんだけど。


「長濱さんテストどうだった?」


「たぶん今日やった科目は98点以上かな。これも足利ちゃんと尾関くんが勉強する時間を作ってくれたお陰だよー」


さすが長濱さんその成績だと、トップにも入れるかもしれない。特に今日の漢文はそこそこむずかしかったし、平均点は下がるだろう。本当に東大に受かるかもな。そのためには森田が自立してくれないといけないが。


「それはよかった。俺も数学は60点以上取れそうだ。これも長濱さんのお陰だよ」


「尾関君が理解しようと頑張った結果だよ。私は少し協力しただけだし」


長濱さんに誉められたわ。嬉しすぎてここで小躍りしちゃいそう。俺はにやにやをなんとか押さえながらいると森田がこっちに向かってくるのが見えた。松永と斉藤が長濱さんを睨んでいる。嫉妬か。まぁ現状森田の一番近いポディションは長濱さんだしな。


「俺赤点ぽいんだが次のテストも教えてくれないか」


森田は俺を睨んできた。恐らく嫉妬をしているのだろう。俺と長濱さんが仲よく話をしていたから。やっぱ森田は長濱さんのことを好きなんじゃないだろうか。それとも大切な幼馴染みが誰かと仲良くしてるのは気にくわないとかか。まぁどうでもいいんだけど。好きだろうが好きじゃなかうがアピールすることに変わりないし。別に付き合ってる訳じゃないから罪悪感もわかない。


「別にいいけど、復習をちゃんとしないから赤点取るんだよ。尾関くんはちゃんと復習したから赤点回避したんだよ」


すると森田視線は俺に向く。なんでお前みたいなやつが美海に教わっているんだというよう顔をしている。ちょうど長濱さんに見えない角度でいるから憎たらしく感じているような表情もしてるが長濱さんからは見えない。


「そうかお前尾関というのか。仲良くはできなそうだが」


正直すぎるんだろこいつ。主人公って思ったことを言っちゃう人が多いのか。だからすぐに恥ずかしげもなく女子を誉めて落とすのか。それとも主人公だから言われると惚れちゃうのか。


「もう悟史くん、仲良くしないとダメだよ。尾関くんのことを参考にするところたくさんあるんだから」


すると森田は眉根を寄せて唇を噛んでいた。そんなに悔しいか、長濱さんが俺の肩を持つことに。まぁ最近は俺と長濱さんの距離も近くなったからな。


「まぁいいや。とりあえずテストの復習したいから美海きてくれ」


俺から長濱さんを引き離すのか。森田のことを好きな長濱さんは喜んで飛び付くだろう。長濱さんは好きな人に頼られることに喜びを感じるタイプたからな。


「いいよ」


そう言って森田のほうに行こうとしたとき長間さんは笑顔になり次のテストも尾関くんに数学教えるよと言って森田のほうに行った。


すると森田は鋭い目付きで俺を睨んできた。そんな目でみるなよ。長濱さんはまだ森田のことが好きなんだから。まぁ渡すきはないけど。森田が長濱さんの手を引っ張って自分の机に向かうのを眺めながらそう思った。ていうか幼馴染みだと手を触れることも自然にできるのか。いつか俺だって長濱さんの手を繋いでやる。チラッと森田はこっちをみて嫌らしい笑みを浮かべた。くそー森田め優越感に浸りやがっていつか俺も森田を羨ましく思わせてやるからな。


さて何をしようか。暇になったな。つってももう後は帰るだけだし帰る準備でもするか。


俺は今日は細川と梨香と帰る約束をしている。

梨香のお願いで、できるだけ細川と一緒にいるように言われているからだ。二人きりだと細川が緊張してしまうかもしれないから梨香も一緒だ。


帰る準備も終わったし下駄箱に行きますかね。チラッと長濱さんをみると楽しそうに勉強を教えていた。松永と斉藤は不満そうだが。主人公も大変だな。仲良くしたくても好意を持たれた女子が何するか分からないから。


すると森田が松永と話していると、長濱さんと目があった。こちらに微笑んで手を振ってくれた。天使が降臨した。俺も笑顔で手を振る。長濱さんに手を振ってもらったの初めてだ。それだけ長濱さんと仲良くできたってことだろう。


俺はうきうきの気分のまま教室をでた。下駄箱に行くと、梨香と細川が待っていた。細川は相変わらず俺の顔を見ると挙動不審になる。まるで俺がなにかをやらかした気分になる。


「じゃー帰ろうぜ」


「うん、お兄ちゃん長濱さんとはどうなの?」


「微笑んで手を振ってくれたぞ」


「それだけ?」


それだけってあの長濱さんに手を振ってもらったんたぞ。それだけ?ってかたずけてるのは間違っている。めったに手を振らないんだぞ長濱さんは。みたことあるのは森田ぐらいだ。


「梨香からみたらそれたけでも俺にとっては女神から微笑まれた気分なんだよ」

 

「ふぅーんまぁいいけど」 


梨香は細川になにかこそこそと話している。すると細川は顔をリンゴのように赤くした。何を言ったんだよ梨香。なんかこっちをチラチラ細川が見ているんだが。


「正弘先輩かっこいいので、わ、私とデートに行かない?」


おい何を吹き込んだんだ梨香のやつ。男性恐怖症なのにいきなりデート不味いだろ。


「大丈夫だよお兄ちゃん、どうやらお兄ちゃん相手だとたんに恥ずかしいだけみたいだから」


それなら大丈夫か。いやそれだと俺が男性恐怖症を治すのに力になれるのか?疑問はつきないが、まぁ一緒に出掛けることは特に問題はない。だからそんなに泣きそうな顔をしないでくれ。周りの生徒たちが俺のこと女子を泣かしてるという目で見てくるから。事案が発生しちゃうから。


「いいぞ、それてどこに行く?デートってことは梨香は来ないのか?」


「うん私は行かないよ。せっかくだし今日行けば?」 


今日か、流石に一日中一緒にいるのは会ったばっかりだしきついだろう。話す話題はあるが。


「今日いくか。どこか行きたい場所あるか?」


「図書館に行きたい」


地味なところを選んだな。本好きなのか。だか俺はラノベしか読まないから一般小説についてはたいして詳しくない。おすすめを教えてもらうかね。あとは社会心理学の本を借りるか。  


「それじゃ図書館に行こう。夜はラーメンでいいか?」


「お兄ちゃん女の子とラーメンはないよ」


梨香が呆れたように言った。なに言っているんだ女子とラーメン屋に行くと言って反応見て、相性を見るんだよ。ラーメン好きならこれからの相性もいいってことだからな。


「私もラーメンは好きだよ。なので一緒に行こう」


おってことは相性はいいってことだな。梨香はため息ついているが無視だ。本人がいいなら別にいいだろう。俺は靴を履きどこ行こうかと悩みながら梨香と細川と一緒に駅まで向かった。

















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