第3話 泥棒猫
ーバァンー
極道映画ならそういう音で幕切れを引いたであろう
俺の拙い人生
「ぐわぁっ・・死ぬぅぅ」
そういって床に倒れるのと同時だった
まるで薔薇に囲まれた乙女が旋回するかの様に鮮やかに少女が
舞った
あ・・あれ?俺生きてるの?
鈍い音がしたかと思ったら隣にいたはずの黒服が鮮やかな音を立てて
冷たいコンクリートに倒れ込んだ
鮮やかな舞を見せた彼女はそのままさっき手にした銃の中を
素早く確認して弾を入れ替えて、倒れていた黒服の男に二発打ち込んだ
「走れっ!」
そういって低い怒声が響くと同時に、もぅ一人の黒服が、銃を取り出し
発砲した・・がその刹那に彼女の鉄拳が男を弾き飛ばしていた
「くっ・・クソがぁ・・」
黒服は弾き飛ばされて尚、冷静に銃を拾って、発砲してきた
「わわわっ!危ねぇ・・ひ~当たるぅ」
そういって彼女にもたれかかりながら蹴躓(けつまづ)きながら
倉庫街を走る
「おいっ!てめえら、裏切り者の泥棒猫が紛れ込んでんぞ!消せ!
必ず殺せや!」
「わわわ、、なんかいろんな所から、わらわら出てくんですけどぉー!?」
「もうっ・・うるっさいなー。勢いで助けちゃったけど、もぅ死んで良いよぉ?」
「な、なんとっ!い、嫌々、俺、ズブの素人なんです!助けて下さいよ!」
「タダで助ける価値も義理もないじゃないメリットもない」
「そ、そんな非情な三段階活用いらんてっ!わわわひぃ~やたら撃って
くるがな」
「私の事が好きなんでしょぉ?なら、助けて死ねばいいじゃない☆キラッ」
「いやいや御免被るってか、それなら一緒に生き残ろうって選択肢を
選びますわ」
「あーうざい。人に期待してる奴大嫌いなんだよ。来んな!」
「そんなツンデレなぁっ」
そういって少女は俺の声を無視してスカートの中の足下から小型の
石を出す。考える間にそれを黒服が追いかける方向にぶん投げた
途端、それは煙を上空に吐き出し、追いかけてきた黒服が怯む
そして、さっきの黒服は物陰に隠れて、すぐさま手慣れた様に発砲して
きた。
「場所が悪いなぁ・・ちょっと退避!」
そう言って、分かれ道にさしかかり、奥の道に続くコンテナ
みたいな荷台を飛び越えようとする
その時
遙か上の方に、銃を構えたスナイパーが狙っているのが見えた
「危ないっ!」
そういって瞬間的に後ろから、「彼女」に覆い被さった
悲劇はそこで起きたのだった
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