第17話 え・・・?

誰?


白髪の気品漂う、優しそうな人だけど、見た事がない人だった。

「初めまして。私はクーペと申します」

身体が自然にこわばり、顔が引きつった。

最後のそれも、1番の要注意人物。

第1王子のただ1人の側付きであり、その前は陛下のただ1人の側付きだったという、1番関わりたくない、私にとって最も関係の無い人がどうして、ここに、それも、


チラッ


見るとノア様はもういない。


ああ、もう!!

あの後どこに行くのか知りたかったのに!!


結構心の中でイラつきながらも、この人に礼儀を怠れば後がどうなるのか考えるだけでも怖い。

「大変失礼を致しました。お初にお目にがかかります。オデッセイ・オーウェンと申します」

裾を軽く持ち会釈した。

諦めよう。

とりあえ目をつけられたくない。

「大層な挨拶はいりませんよ。私のような一介の召使いにその様に扱われますと、主に叱られます」


よく言うわ。

主、と言えば、第1王子、バディ様。

ますます私と関係のない人だわ。


「オデッセイ様。お願いがありましてお声を掛けさせて頂きました」

「お願いですか?クーペ様が?」

「様はいりませんよ。呼び捨てで結構です」

にこやかに言うが、言っている意味が分からなかった。


様、が要らない?


「あの、仰っている意味がわかりません」

「いずれはわかります。さて、それよりもお願いですが、私の代わりに花係をお願いしたいのです」

「花係でございますか?」

「はい。本来なら私がすべきですが少し多忙でして、代わりにお願いしたいと思いましてお声を掛けさせて頂きました」

「・・・私が、ですか?恐れ入りますが、私は宮殿に上がったばかりの新参者でございます。他の方が良いかと存じますが」

だって、この人がついているのは、第1王子バディ様のはずだ。

それ相応の、と言うよりも、バディ様を狙っいる人に恨まれるなんて面倒だ。

「では、第2執務室をお願い致します。場所がお分かりにならなければ1度確認をすれば宜しいかと思います」

「あ、あの、私は・・・」

「庭園でオデッセイ様のお好きな花を選ばれば宜しいかと。主もオデッセイ様の好みが分かれば大変喜ばれるかと思います。園丁の誰かに第2執務室と言えば、どの花も切ってくれるでしょう」

「いえ、私ではなく・・・」

「それでは、私はまだ仕事が残っておりますのでこれで」

「いや、あの・・・」

にこやかに微笑むと、言うだけ言ってさっさと去っていってしまった。


・・・へ・・・?


残された私は、呆然と後ろ姿を見送るしかなかった。


 


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