第16話いつも・・・?
「ん?ノア様?ああ、今回は1班が相手してる。昨日から来てるよ。婚約解消の手続きも婚約の手続きも宮殿には3日間の滞在になるから、明日までいるよ。どうしたの?」
朝食にパジェロに聞くように言われたことを聞くと、さすがだ、すぐに答えてくれた。
でも、逆に質問されて、答えに困った。
「いや・・・、昨日声をかけられて・・・、どんな人かなあ・・・と・・・」
口ごもりながら言った。
「少し、変わった事を楽しんでる方ですね」
「そぉねぇ。婚約破棄を楽しんでるわねぇ。でも、ちょっと面白いなぁと思ったわ」
「まあね。よく考えたと思うわ。下級爵位で遊ぶんでしょ。私もちょっとやってみたいと思ったもん」
「だねぇ。手を出されなかったらぁ、問題ないもんね」
「私達の下僕になって下さる方を次々に変えるんでしょ?滅多にできませんわ」
「あ・・・そっかあ。オデッセイは子爵だったね。あんまいい話しじゃなかったか」
私の顔を見てやっと気づいたようで、セリカが困ったように笑った。
「・・・あ・・・そうですね・・・。ちょっとそう言う噂も聞いてたから・・・。やっぱり、かな、と」
まさか、私ですとは言いにくい。
「オデッセイは子爵でも別格ですわ。持って生まれた美は選ばれて当然ですからね。美もなく爵位の低い方はその程度しかありませんもの」
多分、私を慰める? とは思うのだけれど、やはり、考え方が違うなと痛感した。
住む世界、育った世界が違えば、仕方のないことだ。
だからこそ、あの男には、底辺貴族の足掻きを見せてあげる。
朝食が終わり、3人と別れ部屋に帰った。お勉強です。
ウシナ伯爵様のお話は帰ってからゆっくり教えてくれると約束してくれた。お昼から3人はウシナ伯爵様が帰ったあと、召使いと一緒に掃除をするらしい。どこまでお嬢様が掃除出来るか疑問だけどね。
私の勉強は礼儀作法を重点的にするみたいで、今日は歴史を少しと歩き方の練習をしたくらいで、とくに難しくはなかった。やっぱり宮殿で暮らすとなると、それ相応の立ち振る舞いが必要なんだろうな。
昼食を1人で済ませ、時計見ると12時30分だった。
そろそろ中庭に行ってみよう。パジェロの話では13時から掃除が始まる。もし、誰かがノア様に渡す物があれば、掃除が終わったあとやってくるだろう。
ここから中庭までも距離があるから、急ごう。
中庭に着いたのは13時少しすぎてた。
・・・遠い・・・てか、広すぎ・・・。
はあと深呼吸しながら、中庭に出ながら、昨日のカーテンの場所を見れるように、隠れて見やすい場所を探した。
隠れ場所的には色々あったが、花壇にあるアーチが程よく隠れそうで、そこに来た。
あとは花を見るふりをしていると、少ししてから、見慣れない格好の人が、周りを気にしながら歩いてきた。
宮殿に来る貴族は正装が常だ。
だがその人はグレイのゆったりとした服を来ていた。
顔まではちゃんと見えないが、あの場所で膝をつき何かを置いていった。
そうして歩いて行った。
誰もその姿になにも言わないということは、何処かでああいう格好の人がいるのだろう。
見たい!
置いてあるのを見たい!!
好奇心がむくむくと大きくなり、ドキドキと心臓が高鳴る。
でも、グッと我慢した。
どこでノア様が来るか分からない。ここで鉢合わせになって、こちらの動きがバレても困る。変に仲間だと思われても困るし、逆に何か分からないけど、私のせいになっても困る。
でも、見たい!!
くうぅぅぅぅ!!!
我慢だ、我慢だ、オデッセイ!!!
どうにか我慢し、花をちらちら見ていた。
多分私が1番挙動不審で怪しい人になって居ると思う・・・。
少しして、やはりノア様が現れた。
今日は1人だ。
背中を向けるようにし、カーテンの所だけ見えるようにした。
同じように屈み、ポケットにしまった。今度は何も置かなかった。
大きさ的にはかなり小さい。ここからじゃ全く見えないし、昨日もちゃんと見えなかった。
「オデッセイ様」
色も濃い色を使ってる。多分分かりずらくしているんだ。
「オデッセイ様」
慣れている感じだったから、いつも。まって、いつもって・・・?
「オデッセイ様」
ぽんと肩を叩かれた。
「ひゃっ!!」
「こ、これは失礼しました。驚かせてしまいましたね」
振り向くと年配の男性がにこやかにたっていた。
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