第36話終わりました

本当に缶ずめの1週間だった。

頬を殴られたと言うのを考慮してだろうが、勉強もなし、誰とも面会禁止、食事も部屋でとり、パジェロと、ミラージュとアイ以外は、定期的にくる医師と、ウザイバディ様だけだ。

バディ様は忙しい方なので、来たのは2回だけだが、


くどくどと、くどくどと、くどくどと!!!

本当に分かっているんだろうな?

この傷は女の傷じゃない。

大人しくするんだ、


等等。


これが第1王子じゃなきゃ、言い返してた。


が!!きちんと我慢し、とりあえず、理解しております、と答えたら、また、嫌な顔され、


分かってない!!


と繰り返され、だったら聞かなきゃいいのにね。

今回の事件の詳細は体調が整ってからと言われたが、大体はパジェロに聞いた。

ノアが盗んだ種を私が盗・・・、いやいや偶然落としたのを拾い、事件に巻き込まれた。それをバディ様が鮮やかに解決、と言うことになってるらしい。


うん。それでいいです。


ただ気になる事は、私がバディ様の花係になった上に、今回の事件。もしかしたら、この2人は!!

というよくある噂が飛び交ってるらしく、うんざりだ。

そんな噂バディ様にも迷惑だし、私も迷惑だ。変な噂のせいで、虫が寄ってこなくなるじゃない。

4年もあるが、バディ様との噂は避けたい。

きちんと言っておかないといけないな。

そうして、1週間後やっと部屋から出る許しが出たが、さっそく第2執務室に呼ばれた。

というか、許しを出した本人が呼ぶってどういう事よ。

「さて、何故あれ程までにノアを嫌っていた」

ソファにまたまた、バディ様の横に座らされ、じっと睨まれた。

「婚約を解消した理由が気に入らなかったんです」

「理由?」

そっとカップとソーサーを私に渡してくれた。

「恐れ入ります」

受け取り、1口飲んだ。

綺麗な琥珀の紅茶が揺らめいた。

「あの人は資産が乏しい低俗貴族とあえて婚約し、婚約を喜んでいるところを、解消する。その時の絶望の顔を見るのが楽しい、と言われたんです」

「なんと俗悪な!」

「最低だな!」

お2人の怒りの顔を見て、笑みが出た。

上級貴族があの方のような人ばかりではない。

「・・・私の家は裕福ではありません。父や兄上は領地を豊かにする為に日々努力しております・・・。ですが、どうしても先立つものが不足しております。そんな折、あの方からの婚約の提案があり、私には断わる理由がありません。この婚約が上手く行けば、父や兄上のお役に立ち、領地が繁栄する、と喜んでおりました。・・・まだ、私のことを気に入らないなど、正当な理由があるのなら良かったのですが、まさか、まさか、このような理由とは!それも、男色家だったのだとは、本当に女の敵です!!」

喋りながらまた、思い出しまた腹が立ってきた。

紅茶がふるふると震えた。

「ノアが!?」

「あのお方が!?」

「ご自分でも認められました。結局あの方は・・・自分の遊びのためだったんです・・・」

「・・・よく分かった。気持ちを沈めろ。もう終わったんだ」

諭すような声でバディ様が言った。

ふうとため息をつく。

「そうですね。処分はどうなりましたか?」

「まだ、最終判決は少し先になるが、デニール侯爵家を簡単に潰す訳には行かない。あそこは、遠いながらも王家の血をひく」

「そうですか・・・」

「今回の件でノアは廃嫡、何年も牢獄され、出たあとも幽閉される事になるだろう。跡継ぎは、王家に逆らうことない者をこちらで選別し、全てを監視することとなる。だが、デニール侯爵家には資産がすでにない。今回の件で、誰もがデニール侯爵家から離れ、どの道、デニール侯爵家は没落し爵位返上となるだろう。君の言う通り、君に手を出したことを後悔するだろうな」

紅茶を1口飲む。

「では、満足です」

思っていた事を素直に口に出したのに、バディ様は、顔をひきつらせ、クーペ様も苦笑いをされていた。

「・・・まあ、私も・・・身分相応というのを失念していたのもいけなかったのです。私のような者が侯爵家と婚約出来る筈がないのに・・・変に夢見てしまったから」


あら?いい感じの流れ。


「オデッセイ?」

「私のような者は出来れば伯爵家と婚約し、つつがなく婚儀をすることが望ましいのです。ですので、バディ様、私を早く花係から解任し、バディ様の噂にたつに相応しい方を探すべきでございます」


よし、言ったよ!


「待て!何故そうなる!?」

「何故って、先程も言いましたが、私は分別はついております。身分相応の相手を宮殿で見つけ、領地を繁栄をさせる事が何よりも私の願いでございます。その為にも、いいえ、バディ様のためにも、花係を解任しお互いに相応しい方を伴侶とするべきでございます」

凄く当然のことを言ったのに、どうして、そんなにがっかりされているお顔をされているんだろう?


ああそうか!


「申し訳ありません。バディ様は私を懐かしく思っておられましたね。では話し相手として、思い出した時に呼んでいだければと思います」

「・・・もういい・・・」

うなだれながら諦めるように呟かれた。

「宜しいのですか!?」


やった解放される!!


「よくわかった」


そのセリフ最近よく聞くなあ。けど、だいたい怒られるセリフになるんだよね。

嫌な予感しかしない。

「オデッセイ様1つ確認しとう事がございます」

何か言いかけたバディ様を、あえてクーペ様が先に質問してきた。

「なんでしょう?」

「あの種はどのように手に入れられたのですか?」

興味津々の顔だ。

「少し拝借したのです」

「どのように?」

「どのように?あの方のポケットから拝借したのです」

「それは、盗んだって言うんだろうが!?拾ってないのか!?」

「バディ様、私一言も拾ったと言っておりません」

「そう思うだろうが!」

「あらそうでございますか?聞かれておりませんのでそれは、申し訳ございません」

にっこりと笑うと、バディ様は苦虫を噛み潰したよう顔になり、クーペ様は、

「ほっほほ。やはり同行せねばなりませんな」

と楽しそうに笑っていた。


で??


結局花係は解任してくれるの?


その後、当然のように、


解任するわけないだろ!!


と怒鳴られた。


なんでよお?

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