第35話飼い慣らされる
「ゼットが、あの令嬢はどこの強者の娘ですが、としつこく聞いてまいりました。何とも痛快な場面だったようですね」
クーペが珍しく素直に楽しそうに聞いてきた。
明け方帰ってきて、少し仮眠した。
それから今回の事件について父上や宰相に報告し、俺なりの見解を書面にまとめたが、あれが痛快か?と疑問しかない。
頭が痛くなりそうだ。
ゼットは昨夜の指揮を取ってくれた騎士団の副団長だ。
ノアを捕まえ、そのまま、オデッセイの奇声とともに蹴りを入れたのを目の当たりにしている。
思い出すだけで、恐ろしい。
あの言い方、あの気迫、ノアが可哀想に思ったぐらいだ。
だから、止めたんだ。あれ以上放っておたら何をしでかすか見たくなかった。
それと、絶対に、オデッセイに逆らってはならないと、思い知らされた。
だが、凛々しく、まるで戦場の女神のように美しかったのも事実だ。
「・・・痛快どころが、薄ら寒いものを感じたがな。・・・俺が聞きたいぐらいだ。何処の強者から習ったのか。・・・お転婆?そんなものじゃない。あれはじゃじゃ馬だ。それも、手がつけれん気性の激しいじゃじゃ馬だ!」
あの怪我は男の喧嘩だ。
その状態で、あの蹴り上げで担架を切った。
「それはそれは、飼い慣されるのが見ものですな」
「かあれをか?出来ると思うか?」
「何を仰います。オデッセイ様が大人しくなるはずございませんでしょう。ほんにいい目をされています。飼い慣らされるのはバディ様でございます」
何を当たり前のことを聞く、と言わんばかりに楽しそうに笑う。
「俺を?」
この第1王子であるこの俺をオデッセイが?
「まんざらではなさそうでございますな。次回は是非ご同行させて頂きますぞ。久しぶりでございます。このような心踊るとは」
「・・・冗談はやめろ。もう懲り懲りだ・・・」
「ほっほほ。良い方を見つけましたな」
どういう意味だ。
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