第34話疲れました

その後さすがに疲れてウトウトしている間に、宮殿に着いた。

ぼんやりとしている私をバディ様が優しく声をかけながら、どこかの部屋に連れていってくれた。

ふと気づくとそこがいつもの第2執務室だと、わかった。


眠い・・・。


時計を見ると5時30分。

よけい眠たくなり、寝たい、ともうそれしかなくて、瞼をどうにか広げ、我慢していると医師がやってきた。

「オデッセイ、1つ気になることがある」

バディ様が真面目な顔で言ってきたが、相手するのが面倒で、はいと適当に返事をし、医師が執務室の寝室に私を連れていき、服を脱がし出した。

怪我を確認したい、との事だった。

確かに頬を殴られ、腹部をけられたからなあ、とか安易に思い出したのがいけなかった。


「何ですかこれは!!」

どうも腹部の所を言っているんだと思う。

「ああ、それ?蹴られました」

答えながら、ノアの事が思い出され目が冴えてきた。


あの男!!加減なく蹴ってきた。顔も叩きたかったのに!!

と、くっそおおお、思ってると、


「バディ様!!!!」

何故か大声を出し医師が部屋を出ていった。

どうしたのだろうと思っている間に、バディ様が、入ってきた。

下着姿だったので、本当なら驚くところだろうが、かなりの疲労で喋るのが億劫になっていた。

早く終わって欲しいと、というのが正直な気持ちだ。

「やはりな。返してあげただけ、と叫んでいたのが気になったんだ。ノアに蹴られたのだな」

また、そんな怒った顔されても、分かっているならわざわざ聞かないでください。

少し青くなったくらいなのに。

「仰る通りです」

「その頬もか」

「仰る通りです」

「服を破いたのもノアか」

「仰る通りです」

「他は」

「仰る通りです」

答えて、ん?とおもったが、もうどうでも良かった。早く寝たい。欠伸を結構我慢している。

やはり答えは違っていたようで、バディ様の顔がますます、苛立っていた。

「治療後、自室で休みなさい。私がいいと言うまで、自室から出ることを許さないからな!!」

「・・・え・・・?」

怒鳴ると部屋から出ていった。

それから1週間部屋から缶ずめにされ、扉の外に4人も見張りを立たされ、本当に出してくれなかった。


何よ。


噂では言葉少なく無口で、怖い人だって聞いていたのに、よく喋るし、心配性だし、面倒な人だなあ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る