第27話報告

 食事後ソファに移り、クーペ様がお茶とお菓子を用意してくれた。

何故か、バディ様の横に座らせられたのが解せなかったけど、とりあえず逆らいませんでした。

「あの種はなんだったのですか?」

「来年出荷される予定のアマリリスの新種の種だ」

「新種?」

「ああ。植物の研究機関で新種を研究している。そこで出来上がった新種の花を、実際外では、どうなるのか、と実験を踏まえて国のまつりごや、宮殿で使用する。そこで問題ないと判断された時点で、1年後、王家専属の決められた店へ種が渡される。恐らくパジェロはその店を探しに行ったのだろう。よく、あの短時間でそこまで辿り着いたと感心する」

思い出した。

花園でノア様が今回このバラが出せるのですね、と言っていたのはこの事だ。

「幾つ店はあるのですか?」

「3つだ。全てこの王都にある。まあ、お茶を飲もう」

軽く微笑み言われたので、カップを持ち飲んだ。

「あとはその店が育て支店などで売られる。人気が高く値段も破格だ」

「では、あのアマリリスが出るのは本当なら1年後」

「ああ。これを見てみろ」

そういうと封筒に入っていた書類を私に渡した。

「ノア殿が持っていた、と言うのがきになり、調べてみた。わかる範囲で、デニール侯爵家も調べてみた。もしかしたらノア殿が宮殿に来た時に何か動きがあるのでは、と思ったからだ。だが、特に変わったことはなく、種の数は毎日数えられ報告書に記入される。しかし紛失はしていない。つまり、ノア殿に渡した後に数を記入してるんだろう」

「グレイの服を来た人が仲間なんでしょうね」

「なるほどな。研究員の色だな。そうではないと持ち出せないだろうな」

「種はあれ程までいるのですか?100粒はありました」

「恐らく芽が出るのは全体の3割しか満たないと報告を受けている。新品種に限らずどの種にしても、全て芽が出るとは限らないからな」

頂いた書類をパラパラと見る。

気になる事は幾つかあったが、ようはお金儲けか。

確かに破格の値段だ。

普通のバラが1本200エニーニに対して、新種のバラは1本1,000エニーニ。5倍。だが、まだ未販売ものなら幾ら出しても手に入れたい貴族は多いだろう。

それも、独占的に販売するということは、値段なんてあってないようなもの。

逆に言えば、そこでしか手に入らない上に、秘密裏に手に入れれる、という優越感にお金に糸目をつけないのかもしれない。

扉を叩く音がした。

「見てまいります」

クーペ様が確認しに行くと、パジェロの声がした。

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