第24話パジェロの考え
「あの、お願いがあるんですが、俺明日外出したいんです。許可貰えますか?」
パジェロの声で空気が変わった。
「何か気になるのか?」
「それ、です」
まだ、バディ様は私の手を握っているのだが、その中を指さした。
「その中身は、花の種です。少し宮殿の周りの花屋を見てきたいんです」
「して、その真意は?」
クーペ様が楽しそうに聞いてきた。
「俺の考えでは、その種は人に害があるものじゃない。もし、本当に毒とかなら、もっと厳重に扱われ、簡単に持ち出せないはずでしょう?」
「その通りだ」
バディ様が答えた。
この手、離してくれないのだろうか?
「でしょうね。それならそんな簡易的な袋には入れないはずです。ということは、珍しい花の種だと思います。そうなると育てるにも難しいはず。その種を自分の屋敷やもしくは領地内で育てるのだろうか?確かに安心です。自分の目の届くところで、自分の安心出来る召使い達が育てる。だが、俺ならしない。それこそ危険だ。たかが召使い。そんなヤツらいつだって金のために裏切る。確実に安全な仲間が必要です。だが、種をもって長距離は動かないでしょう。何かの拍子に落として足がついたらヤバいでしょうから。宮殿近くの街の花屋はでかい。利害は一致する」
「ほほお。面白い見解ですな。バディ様、私はこの案に乗りましょう」
「よかろう。クーペ外出の手続きをしてやれ。帰り次第報告を聞こう。こちらは、この中身について調べてから報告しよう」
「もうひとつお願いがあります」
「なんだ」
「明日、いやもしかしてらもう出しているかもしれない。ノア様が嬢様と2人で喋りたいと申請を出してくるはずです」
「何故わかる」
だから、話をするんだったら、手を離してよ。私から振りほどくことはできないんだから。
「それがノア様の物だからです。手に入れた時間と、無くした時間はさほどない。すぐに落としもの係に聞いているはずです。勿論、届いていないとすればすぐに分かるはずだ。嬢様の話を聞く限り、種を拾ってすぐ花園に向かっている。園丁は拾ってない。つまり嬢様が持っている、と」
「なるほどな。それでどうする」
「話をすれば勿論何かしらの情報は引き出せるでしょうが、そうなれば最悪、それがそちらに渡った事がバレてしまう。それより断った方が焦り、ボロが出るでしょう。上手く行けば花屋で会えるかもしれない」
「なるほどな。貴様か・・・オッセイの株を上げたのは。まあ、いい。報告を待とう」
やっと手を離してくれた。
「オデッセイ、君は明日の昼食は私ととること。少し話を聞きたい」
私を見た。
・・・ですよね・・・。
「・・・かしこまりました」
「行くぞクーペ。これ以上ここにいると、あらぬ噂をたてられては、オデッセイが、困るだろうから」
「御意」
「では、明日。・・・楽しみにしている」
小さく言うと颯爽と去っていった。
ばたりと扉が閉まった。
「オデッセイ様知り合いだったんですか!?」ミラージュ。
「お嬢様、いつの間に知り合ったんですか!?」アイ。
「嬢様、知り合いなら早く言えよ!!」パジェロ。
「いや、私、知り合いだったの!?」
私の言葉に、3人は、うーん、と困っていた。
私が知りたいもの!
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