第14話そんな気持ちで婚約したんですか!?じゃあこっちも動きます!!
「そうだ!オデッセイ、聞いた事あると思ったら」
ギクリと胸が高鳴り、1歩下がった。
「ここに来るまでに、面白いことした子だ。そうだ、そうだろ?」
ほっと安堵しけれど、そこはどうでもいい所でしょと思った。
この人、本当に私を、いいや、他の女性に対しても同じだったんだろう。
「・・・恥ずかしいです・・・。流れでそうなってしまっただけなので」
「いやいや、綺麗だけでなく、勇ましいと噂になってるよ。私の前の婚約者、と口で言うほどでもない女性とはやっぱり違うな」
「どんな方だったのですか?」
「地味な女性だったよ。若いだけのぱっとしないし、私の爵位に興味があるだけの、卑しい女だったな」
そこは否定しない。
「必死になってる当主と嫡男がマヌケすぎて楽しかったよ」
笑い方も喋り方も本気で言っている。
「それは・・・高尚な遊びですね」
「やっぱりわかってくれると、思ったよ」
楽しそうに言うが、何故かチラチラとマグナが去った方を見ている。
その妙な動きがとても気になった。
「それじゃあこれで、あんまり一人占めすると、捕まるからね」
まるで、マグナが去っていくまでの時間つぶしのような感じだ。優しく言うが、上の空でもう私に興味はないうだった。
と言うよりも他に興味が移っている。
「またね」
私を見ようともせずにさっさとマグナと同じ方向に歩いていった。
何故か気になった。
少し離れて後ろをついて行く。
ノア様は足早に歩き、自然に振舞っているように見えるが、妙に周りを気にしている。
ガラス張りの為よく見え、その分カーテンを集めた場所はかなりの量だ。ちょうど角を曲がった所に集めてある。
曲がると急に膝まづいた。
なるべく見えるところに近づいた。
どうも靴紐を結んでいるようだが、何かをポケットから出し、カーテンの所に置き、何かを拾いポケットに入れた。
その後は真っ直ぐに歩いて行った。
ふーん。
カーテンに隠しあってるんだ。
ふーん。
とてもいいものを見たような気がした。
なんか、なんか、
ガチで潰しにいきたい!
この純粋な気持ちを踏みにじり、あんな、人間として最低な考えしかなもたない男には、
制裁を与えるべきよ!
強い気持ちが生まれた。
「オデッセイ様、先程の方に何かされましたか?」
見回りの騎士団が、おそらく私が、立ち止まり、それも、ノア様を見つめているのに不安になったのだろう。
「何もされてません。ただ、いい勉強をさせてもらいました」
にっこりと笑うと、それは良かったと安心し去っていった。
出来ることはそんなに無いかもしれない。
でも、
そんな気持ちで婚約したんなら、こっちも動きます。
あしからず
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