第12話この声

部屋でゆっくりと言ってもする事がないので、1階に降りてみた。本当なら1人でウロウロするべきでは無いのだが、少し探検的な気持ちだ。何かあれば、見廻りをしている騎士団の方に声をかければいい。

さすがに上の階に行く勇気はないからね。

1階は部屋が少ない。宮殿の見事の中庭などを楽しむ為に、廊下は全て天井までのガラス張りになり、そこに薄く色が塗ってあり、幻想的にも見えた。それにすぐに外にも中庭にも出れるようにもなっている。

今日はお天気がいい。

宮殿の庭園や中庭やその他色々、とても広いのでまたゆっくり見ようと思うが、中庭ならすぐ横に広がっているいるので、このままガラス越しに覗くだけでも楽しかった。

特にこんなにお天気のいい日は、よく見える。


さすがだなあ。うちの屋敷の庭よりもすごいもん。

うちか・・・オーリュウン家・・・。


長い廊下を歩きながら、感慨深い気持ちになった。

オーリュウン家がとても懐かしく思い出される。たった10日前までは、当たり前のように過ごしてきたあの家から、今は、こんなに住む世界が違う場所にいる。

人生って本当にどうなるのかわかんないものだ。

まさか、婚約解消されて、次を探さなきゃと思うはずだったのに、こんな、ハイレベルな所で探せるとは思わなかった。

勿論、自分が選んだんだのもわかっている。

何があっても来たい、と思ってた場所だ。

ふう、とため息が出た。


でも、寂しなあ。お父様やお母様、アコード兄様、ゼスト姉様、フィット姉様は、何してるんだろうなあ。

私のこと少しは心配してくれてるかなあ。特に姉様達。せいせいしたとか言ってないよね?というか、思い出してくれてるんだろうか?いや、なんで私達が選ばれないの!?と恨まれているような気がする。


でも、それも今なら聞きたいな。

そんな事を思いながら廊下を歩いていると、何かの用事で来ている貴族の人達にすれ違い、会釈しながら歩いた。

たまに声を掛けられそうになったが、急いで逃げてしまった。


だって、怖いんだもん。


「おや、宮殿の妖精がこんな所で迷子かな」

不意に後ろからからかう声が聞こえた。

ぐっと息が詰まった。


この・・・声・・・。


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