第7話やっと到着しました
宮殿に7日遅れで朝到着した。
初めて入る宮殿にとても緊張した。
お父様だって2度しか入った事がないはずだ。
王族の誕生日には全貴族は参加するが、基本当主とエスコートの女性1人。必然的に夫婦が常となる。
それも、敷地内にあるパーティー専用のホールで行われるので、宮殿に入る事はない。
他の者が参加出来るのは親戚筋か余程親しい間柄だけになるため、私は全てが初めてだった。
それも、裏口から入ると思っていたら、正面から堂々と入る上に、何人もの出迎えもあり驚いた。自分の部屋まで案内されるまで、近くを通る召使いの人がわざわざ足を止め、私に会釈する。
まるで、本物の貴族の娘みたいな扱いだった。
いや、私も本物の貴族の娘だけど、たかが子爵の娘。お父様が宮殿に関わる程の役職ならともかく、そんなこともないから、もうずっとソワソワしていた。
当然だけど、見るもの全てが高級品で、絨毯もふわふわで歩くのが恐れおおかった。
一緒に来た3人も、挙動不審で足が震え歩けないようで、何度も注意された。
その気持ちは凄くよく分かる。私もかなり頑張って歩いているもの。
トリセツの見取り図に書いてあったのだけど、宮殿の形は簡単に言うとカタカナのロの形で六階建て。
それを、前半分、後ろ半分で綺麗にふたつに区切っている。前の宮殿は主に公務に使われる。
奥の宮殿との境目には騎士団の方が常時常駐し、検問さながらの確認が行われる。
何故かと言うと、後ろの宮殿は、王族の方の住居と、高貴な方の滞在に使用されているからだ。
それと、前の宮殿での案件をより協議する場としても使用される。
もう1つ大き理由はトリセツに書いてあった、部屋の名。
前の宮殿は、庶民の謁見の間
後ろの宮殿は、貴族の謁見の間
明らかに立場を分けた、嫌な書き方だった。
私の仕事はその後ろの宮殿となるとのことだった。
ちなみに、上の階に上がるごとに位の高い人達が使用している。
だから、六階は王族の方が、住居として使用し、五階は来賓や貴族の方の寝室として使用する。
私のような貴族の召使いは四階に一人部屋を与えられた。
二階と三階は貴賓室や会議室、執務室、等などがある。
連れてきた召使い達は前の宮殿の四階五階で相部屋で住むとのこと。
就寝まで主人の面倒を見て、前の宮殿に帰る。夜は当番で見回りするらしい。
途中で、3人と別れ私は後ろの宮殿へと連れていかれた。
境目に来ると、騎士団が長い剣を腰に持ち何人もたっていた。
その人達が綺麗に腰を曲げ私中へと向かい入れた。
後ろの宮殿はとても煌びやかで、窓からの日差しが上品に取り込まれ、カーテン1つにしても質だけではなく、どうすればよりよく見えるか工夫されているようだった。
案内された私の部屋だ、という部屋は私が生まれ育った部屋の何倍も広くて、豪華で、キラキラしてて・・・なんだか居心地が悪かった。
「では、私はこれで失礼致します。少ししましたら、オデッセイ様と同じ班の方が来られますので、その方々に詳細はお聞きください」
「・・・はあ・・・」
案内役だと言っていたその人は部屋から出ていった。
呆然と広い部屋を見回し、ため息をつくくらいしかなかった。
班か。トリセツに書いてあったな。どれかひとつの班に属し、共に行動する、と。
いい人達だっらいいのになあ。
特にする事もなく、ベランダにでも出てみようかとおもったら、扉を叩く音がした。
「はい」
「失礼しまーす」
なんだがここにそぐわない明るい返事が帰ってきたと思った、扉が開き3人の綺麗な女性が入ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます