第6話向かう馬車の中
「どうして・・・私を選んだのですか・・・」
馬車の中とても不安そうにアイが小さい声で聞いてきた。
「嫌だったのか?」
パジェロが不思議そうに聞いた。
「いえ・・・嬉しいんですが・・・何で私が・・・と・・・」
もごもごと言いにくそうに、私をちりちらと見た。
「うーんそうだなあ。忙しすぎてちゃんと3人に説明してなかったものね」
アイに言われ苦笑いした。
誤魔化すつもりではないが、宮殿に上がると決まってからひと月したかなかった。
お父様から、オデッセイが決めなさい、と言われ、自分なりに選別した。
召使い達には出立3日前に通達し、その時に連れていく3人を選んだ。お父様が、前もって教えていると不穏な空気になるのを恐れ、静かに吟味し吟味した結果がこの3人なのだ!
その選んだ3人が、興味津々で私を見た。
女性2人のうち1人は、私が小さい頃から面倒を見てくれているミラージュだ。歳は教えてくれないけど、聞いた話では50代と言っていた。
もう1人が一昨年入ったアイ。確か今年25歳と聞いた。
最後の1人が男性、パジェロ。確か28歳だっと思う。
「まず、ミラージュは私のことをよく知ってるし、やっぱり安心感かな」
優しく頷いてくれた。
「アイを選んだのも安心感だよ。歳が近いのもあるけど、すごく話しやすいの。これから最低4年間は宮殿に住むことになるんだから、話し相手は大事だと思うの」
ぱあっと顔が明るくなった。
「パジェロを選んだのは、剣の腕がいいのもあるんだけど、何より観察力が凄いと思った。皆の探しものを、話を聞いて、推理して探し出してるの知ってる。私も何度か助けて貰ったから、一緒にいたら役に立つかな、と思って選んだの」
驚いた顔をされた。
「・・・すみません。誤解してました・・・。俺の親父の事を考えてのことかと思ってました・・・」
「パジェロがお父様の病気でお金に困ってるのは知ってるけど、その程度では選べないよ。言ったでしょ。私達はオーリュウン家を背負ってる。お金で困窮している人はパジェロ以外にも知っている。信頼、信用、信任、はお金では買えない。私はね、私なりにそこを踏まえて選んだつもりでいる。4年という長い期間を共にすごし、共に成長出来る人で、私を裏切らない、私についてきてくれる人を選んだ」
そこで言葉を切り、にっこりと微笑んだ。
「それが、この3人だよ」
一気に馬車の空気が暖かいものに変わった。
「お嬢様はお嬢様なりに考えて私たちを選んで下さったんですねアイ、どう?これで心配は無くなった?」
ミラージュが微笑みながらアイを見た。
「・・・はい。・・・オデッセイ様・・・私、頑張ります」
アイの真っ直ぐに私を見る瞳に、もう、迷いはなかった。
「うん。頑張ってもらわないと困るよ。オーリュウン家の為に、私は玉の輿に乗らなきゃいけないんだから!!」
ガッツポーズをするを私に、3人は、勿論です、と言ってくれた。
その後和やかな話をしながら宮殿に向かった。
向かう間に少し事件があり、着いたのは10日後だった。
まあ、それはまたゆっくりとお話したいと思います。
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