第3話宮殿の召使い
地にめり込む程に落ち込んだ私に、幸運が舞い降りた。
多分一生の運をここで使い果たしたんだと思う。
いや、それでいい。
宮殿の召使いは、本当に狭き門なのだ。
まことしやかな話ばかりが飛び交い、どれが真実なのか分からないほど、その選抜が国家機密と思える程、隠匿されていた。
だって、私の周りには誰もいないし、学園でも家族にそんな人がいる話を聞いたことが無い。
もし、選ばれたなら、自慢したいもの。
私だったら、そうする。
実際に宮殿で働き、見初められ、他国の貴族に嫁いだ方や、今の陛下の公妾になった方もいるのは、本当の事だ。
が、あまりに雲をつかむような話しに、ピンと来なかった。
分かっていることと言えば、
歳は15歳から23歳くらいまで女性が選ばれる、というくらいだ。
それが、私に来た!
それこそ、はっきり言って、玉の輿に最も近い場所だ。
正直学業なんかどうでもいい。
どうせ下から数えた方が早いんだ。この成績で卒業しても、働き口があるとは思えない。
それなら、少しでもいい永久就職を探した方が、家族のためにも、私のためにもなる。
お母様の言うように、好きな方を探して、添い遂げるのが1番幸せなんだろうけど、私にしたら、家族が幸せならそれでいい。
だから、何を言われても、何が書いてあっても、
私は、断るつもりはなかった。
私はただ、家族の幸せだけを望んでいた。
それが、私の、行く末の軌道の全てを決めてしまい、私の意思が何処にあるのか問われたとしても、
私は、
私の気持ちは、
家族が全て。
歪んではいない。
だって、皆の笑顔を見ると、私も笑顔になる。
それから1週間後、詳細が送られてきた。
はっきり言いまして、私にとって、何一つ不都合はなかった。
学業については、選別された18歳未満については、宮殿にて特別講義が行われ、仕事をしながらなので本来学ぶべき内容を習得するまでには時間を有するとの事だった。
そのために、1学年の学業2年が必要のため、本来なら1年更新の召使いの期間が、延びるとこのだった。
なので私は必然的に4年間拘束されることになる。
はい。
問題ありませんね。
お給金も出る、それも月に100万エニー二!!
破格!!
悪いけど、私の屋敷のお給金は1番いい人で、30万エニー二。
3倍ですね。
基本的な仕事は、宮殿に来賓として招かれた方や、仕事で訪問された方、まつりごと等の打ち合わせで訪問された方などの、お相手をするという事だった。
勿論社交界は優先され、自分に招待状が届いた場合は問題なく参加する事を許容される。
あとは年に3回の長期休暇を貰うことが出来る。
1回で使用出来る日数は7日まで。その間は里帰りでも旅行でも自由だ。
勿論、体調が悪いと医師が判断すれば、幾らでも休める。
それと、3人の召使いを連れて宮殿入り。
その内訳も決まっていた。
男子1人、女性2人。
召使いの仕事は、これまで各屋敷てしてきた従来の仕事と変わりない,。私の面倒をみつつ、宮殿の掃除や雑用をする。また、その召使いにも国から給金を払われる。その上、家主である当主からも払うことを義務づけられた。
つまり、2重で給金が払われるけだ。
その代わり、それ相応の質を必要とする。
宮殿に従事する1人として見られ、その者は家主の代わりと言っても差し障り無くなる。
なにか、あれば、全て当主の責となる。
だから、ちゃんと選んでね、ということです。
とまあ、当たり前ですね。宮殿で、働くのですから。
大まかなところはそれくらいだった。とりあえずこと細かく、読んたが、とりわけ気にする所はなかった。
こういうトリセツは大好きで、本当に細かく読み、頭に入れた。
お父様やアコード兄様は私が最低でも、4年も宮殿に上がることがとても不安で、しつこく断ったらどうだ?と説得してきた。
とんでもない。
それだけあれば十分相手を見つけれる、いやそんな上から目線は失礼でね。まあ、最悪見初められず帰ってきても、宮殿の召使いに選ばれたんだから、誰かは求婚してくると思う、と楽観的に考えてる。
結局お父様とアコード兄様は私が頑として譲らないので、諦めてくれ、正式な書類を取り寄せてくれる運びとなった。
ちなみにお母様と、ゼスト姉様とフィット姉様は、大賛成でした。
絶対に玉の輿に乗ってやるわ!!
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