第2話家族の説明

私、オデッセイ・オーリュウンは子爵家の3女として産まれた。

父、レジェンドは48歳。子供の私から見ても、優しい顔立ちをし、漆黒の少しくせっ毛のある髪と青い瞳を持つ、とても温厚なお父様だ。

母、シャトルは42歳。少しキツめの綺麗めの顔で、明るめの茶色の髪と、銀色の瞳を持つ、顔立ちのままハッキリとした性格だ。

兄、アコードは22歳。お父様譲りの優しい顔で、濃いめの茶色の髪で、青い瞳を持つ、心配性の兄様だ。

双子の姉様は、20歳。2人とも可愛い顔立ちをしていて、2人とも、漆黒の真っ直ぐの髪の毛で、違うといえば、ゼスト姉様の瞳の色は薄い青で、性格はとても元気。フィット姉様の瞳の色は濃い青で、性格はとても冷静だ。

そして、家族皆とても頭が良かった。

それに比べ私は、本当に普通だ。

歳は16歳。顔立ちは、お母様似で少しキツめで、まあ、贔屓目に見て綺麗かなあ、というくらいだ。

髪は濃いめの茶色で、瞳は銀色。

頭は良くない。だから、お父様が学業の事を心配していたのだ。

その私に、偶然、デニール侯爵家の嫡男ノア様と婚約しないか、と話が持ち上がった。

歳は27歳。

お母様の親戚からの紹介で、自分に合う方を探しているとの事で、これまで何人かと婚約したが、良い人に巡り会えず、少し歳の離れた女性はどうだ、という事で、私が出てきたとの事だった。

勿論私に断る理由がない。

子爵であるこの家は、領地は広いが、これといった特産物も、炭鉱も、工業もない。

もし、資金があれば、農機具を新しくし、作物の開発をしたいと、常々、お父様と兄様は言っていた。

子爵である兄様が、上級貴族の妻を娶れば話は違うが、兄様は幼なじみの、ハリス伯爵家のフリード様と婚約間近なのだ。

伯爵家とは聞こえはいいが、どちらかと言うと没落し、裕福では無い。だからこそ、フリード様は農業を躊躇なく手伝ってくれていた。

誰が見てもお似合いだった。

姉様2人は今は吟味中との事だが、家のことには興味が無い。それに知らない人と婚約なんて時代錯誤だわ、とはっきり言っていた。

確かに姉様達はとても殿方に人気があった。

そんな平々凡々の私が、やっと役に立てる、と思った婚約だ。

デニール侯爵家と言えば、有数の資産家の貴族。特に輸出を主とし、他国との商売に長けていた。

実際、お父様と兄様はことのほか、喜んでいた。

資産もそうだが、今の流行りの品物が何なのか、また、何が売れているか、など情報が貰えるかもしれない、そうしたら、この領地が栄えるかもしれない、と淡い期待もあった。

嫁げば、お父様や兄様の夢が叶い、子爵家が栄えると、夢見たが・・・。

現実は簡単ではなかった。

結局お会いしたのは2度だけ。

1度目は顔合わせ。

2度目は、ノア様の誕生日パーティー。

歳が違いすぎたのもあり、豪華なパーティーに足も心もすくみ会話が続かなかった。

場違いもいい所だという、恐れと、こんなにも初対面の大人の方と喋るのに緊張するのか、と自分でも驚いた。

そんなの言い訳だ。

私の努力が足りなかったんだ。

結果が出なければ、人の優しい言葉に甘えるだけ。


私は、

私に、

負けたのだ。

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