希望から絶望へ
【報告】
完結が近いです。
最後までお楽しみ下さい!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
多くの船が近付いてくるのが見えた。
「1度会議を中断する!援軍の出迎えを急げ!」
高齢の皇帝に代わり将軍達が慌ただしく指示をだした。
「さて、これで戦力が戻れば総攻撃も可能になりますな?」
「うむ、正直もう少し良い勝負ができると思っておった。装備の質に兵士達の士気など、どれを取っても負けておった。唯一勝っていたのは数だけとはのぅ………」
バースト皇帝はさらに老けたように、疲れ切った顔をしていた。
「皇帝、もう休まれた方がよいのでは?後は私がやっておきますので」
この長年の戦友である将軍は心配から提案したが、皇帝は首を振った。
「ワシはここを死に場所と決めてきた。撤退するにしても殿(しんがり)は必要であろう?この老いぼれの首1つで、多くの兵士達が救われるのなら喜んで差し出そう」
「皇帝陛下…………」
将軍は自分の不甲斐なさに憤り覚えた。そして、若い世代の無能さにも怒りを表した。
「もう少し、育っておればこのような事態にはならなかったろうに………」
全てを亜人達に任せて自分達の牙を研がなかったのが原因である。
そこに、援軍の出迎えに行った者が飛び込んできた。
「た、大変です!!!!」
転がるように入ってきた者を将軍は一喝した。
「落ち着け!!!皇帝陛下の御前であるぞ!」
「申し訳ありません!?それより大変でございます!?」
気が動転している伝令を落ち着かせてから報告させた。
「それでどうした?」
「や、やってきたは援軍ではありませんでした!」
!?
「まさか敵が乗ってきたのか!?」
「い、いえ………船は多く戻ってきて、物資も運んできたのですが………」
なんだ?この者は何が言いたいのだ???
「援軍はいませんでした!船を動かす最低限の人数だけ乗ってきました!」
「どういうことだ!」
将軍は胸ぐらを掴んでいった。
「ふ、船の乗組員のは、話では魔王軍が各国に攻めてきて、ほとんどの国が滅んだと…………」
「なっ──」
流石の将軍も言葉を失った。
「将軍よ、この者の話ではわからぬ。やってきた者を何人か呼んで詳しく話を聞くとしよう」
皇帝の言葉に我に返り、すぐに乗組員達を呼んだ。
「それでは、6ヶ国全てが滅ぼされたと?」
乗組員達は兵士ではなく船乗りであった。全員が憔悴していた。
「正確には滅んでいません。ある日、魔王軍が突如現れて、各国の王城を破壊していきました。数は1万ほどでしたが、数百人ほどしか兵士が居なかったため、抵抗もままならずあっさり陥落しました」
「ば、バカな…………」
将兵達は言葉を失っていた。
「魔王軍は民間人には手をださず、王城を始めとした城や貴族の屋敷を破壊尽くして、忽然と姿を消しました。残った各国と話を合わせた所、襲ってきた魔王軍は同じ部隊のようで、信じられませんが、大部隊を一瞬で移動させる魔法でも使ったのではという結論に至りました」
「バカな!?そんな魔法があってたまるか!」
将兵から声が飛ぶが、皇帝が手で制した。
「同じ部隊であろうと、なかろうと1万の魔王軍が我々の大陸で猛威を振るっているのは確かじゃ。ならば撤退するしかあるまい。将軍、怪我人を優先に撤退指示を頼む」
「はっ!」
そこで皇帝は1つ問い掛けた。
「1つ聞きたい。なぜ御主らはここにやってきた?」
皇帝の言葉に首を傾げる将兵だったが、船乗りは答えた。
「…………最後の3万人の兵士を運ぼうとしたところ魔王軍に強襲されて、兵士達は殺されました。非戦闘員は見逃されましたが、魔王軍から命令されたのです。死にたくなかったら、迎えに行ってやれと」
この言葉に辺りは騒然となるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます