激突!

あれから人間達が上陸してからしばらく経った。


「なぁ、ここまでお膳立てすることはあったのか?」


人間達が上陸した周囲には、小さな森があり果物や野菜類など多く採ることができ、人間達の食糧となっていた。海で魚を取ることもでき、目の前には森から海に流れる川まであり、飲み水にも困らなかった。

まさに、至れり尽くせりである!


無論、これはシオンが予め用意したことであった。


「だって食糧不足で、人間同士の醜い争いなんて見たくないじゃない?」

「まぁ、そうだな。あいつらは俺たちがぶっ潰さないとな!今まで亜人達が受けた屈辱を倍にして返してやるぜ!」


上陸し、陣地を構築していた人間達は往復を繰り返し12万まで増えていた。


「ってか、半分ぐらいまでで叩くんじゃなかったのか?」

「いいじゃない。多い方が燃えるでしょ!」


レオは違いないと笑った。


魔王軍は約2万の大軍を率いて、人間達の陣地の近くにある平原まできていた。

人間達も、斥候から魔王軍が近付いている事を察知し、10万の兵を展開した。

残りの2万は陣地の防衛に残してある。


「へぇ?烏合の衆だと思ったら、なかなか様になっているわね?」

「敵軍の配置は、6ヵ国の軍にそれぞれ分けられておるな。足並みを揃えるよりは、各国が自分の国の進軍を邪魔しないように配置しておるようだ」


シトリンが人間達の意図を読んだ。


「それで、どう動く?」

「私達だけで戦ってもいいのだけれど、それじゃダメなの。犠牲がでても、亜人と魔族達が人間に自らの手で勝つことで、初めて解放されるのよ!」


シオンは周囲を見渡して透き通る声で激を飛ばした。


「皆の者!今こそいままで虐げられてきた恨みを返す時である!確かに今までは魔族が、実りある大地を狙い人間達の国に侵攻した時があった。その時、力を合わせて我々を撃退したのが亜人達だった。人間達はその協力した亜人達を奴隷にして、こき使うだけではなく虐殺したりもした。決して許させぬ大罪である!恩を仇で返し、それが当然と思っている人間を許すな!」


うおぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!!


これにより、連合軍10万対魔王軍1万がぶつかることになった。


「怯むな!定石通り、前列は盾で敵軍を抑えよ!後方より魔法部隊、弓隊援護射撃始めーーーーい!!!!」


雄叫びと共に両者がぶつかった。

少しして、すぐに均衡が崩れた。


「ぎゃっ!」

「うぎゃ!!!」


!?


「バカな!?前線が崩れるのが早すぎる!?」


大盾を持った前線部隊が次々とやられて、突破した敵が後方部隊まで達して被害が出始めた。

まだ人数の差で前線は崩れてはいないが、時間の問題であった。

これは練度の差もあったが、1番の理由は装備の差であった。








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