ようやくです!
あれから──
3ヶ月が経とうとしていた。
「やる気あんのかーーーーーー!!!!!!」
なかなかやってこない人間達に苛立ちを覚えるシオンは叫んだ。
「まぁまぁ、お陰でこちらの準備は万端なの!」
「そうじゃぞ、ようやく兵士達全員に装備が行き渡ったのじゃしのぅ?悪いことばかりではないぞ?」
リリアとマイナがそういうが、シオンは苛立ちを抑えれなかった。
「それで?一体いつになったら攻めてくるのかしら?」
シオンは配下の者に目配りをして、報告を促した。
「はっ!密偵の報告では、各国は各自、船を出して海上で合流する予定だそうです。そして、準備はほぼ完了しているそうで、各国とも同時に出港する時間の調整をしているそうです」
配下の報告にようやくシオンは喜んだ。
「そう、本当にようやくだね」
シオンは立ち上がると、作戦の打ち合わせを行った。
「予想通りになったわね?」
「そうなの、人間もバカじゃなかったの!」
まとめて大呪文の餌食にならないように、分散して攻めてくると言うことだった。
「それで、人間達は魔大陸の玄関口である港町に攻めてくると思うがどうする?」
そう、最初は避難勧告をだして、港町を囮にするつもりでした。
しかし、港町の目の前の海には人魚の町もあり、港町を利用されるのはマズイと言うことになったのだ。
「そうね。港町に上陸させない為に、魔大陸に入り込んだ人間達の密偵に幻を見せたんだからね」
「どんな幻を見せたの?」
シオンはニヤリとイタズラっ子のような顔をした。
「港町に、バハムートは陣取っている幻を見せたのよ!」
なんと!あのラスダン最強ボスを見せるとは!?
「うわぁ~凶悪なの~」
「確かにな」
驚く仲間達の他に、シトリンが尋ねた。
「でも、港町にバハムートがいるなんて、船でやってくる人間達には見えないのではないか?」
「うん、密偵から遠距離通話などで報告は受けているでしょう?人間達がそのまま港町を目指しても、その時だけ本物のバハムートを待機させておくのよ♪」
はい!リリアさん問題です!
ラスダンの大きい龍が見えたら人間達はどうするでしょう?
シオンは問題形式で言った。
「えーと、上陸を諦める?」
「残念!別の上陸地点に変更するでした」
港町から数十キロ先に、岩山に囲まれた入江があり、大量の船が上陸できる地点があるのだ。街から離れているから被害を気にせず戦える場所だ。
ここに人間達を誘導して戦う予定である。
「問題は約15万もの軍ではあるが、船の数の都合上、3万人づつしか来れないことだった。
「まず、最初の3万を『じわじわ』痛めつける。三回目の往復で9万人ほど上陸したら、一気に叩き潰します」
「どうして、全員きてから叩かないの?」
「余り人間達の人数を減らすより、人数が多い方が食糧の消費も大きいでしょう?ただでさえ、収穫が減って食糧の価格が高騰しているのにね」
ここにきて、シオンは魔王っぽい邪悪な笑みを浮かべるのだった。
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