魔王になってもやることは変わらない!
その日、魔王城は………いや、魔大陸全土が熱狂に包まれた。
ウオォォォォォオオオオオオ!!!!!!
キャーーーーー!!!!!!!
魔王とは、勇者などに倒されていなくなった時は、次に実力のある魔族や悪魔が競い合い(殺し合い)次の魔王の座を掴み取ったが、平和な時代は、現魔王とその幹部の同意のもと決められるが、大抵はバトルになって、やっぱり1番強い者が魔王になった。
しかし、今回は満場一致で反対者は1人も出なかった。
そう、全ての魔大陸に住む者達が認めているのだ。シオンが魔王だと言う事を。
魔王襲名の儀式は、限られた者達が魔王の玉座の間で、現魔王が玉座から立ち退き、新しい魔王が玉座に座るだけの儀式である。
ただ、その玉座に座るのは覚悟がいるのだ。
かつて歴代の魔王が勇者を迎えうち、返り討ちに合いその玉座を赤く染めた。
またその玉座に座るという事は、魔大陸にいる全ての者を守る守護者になると言う事でもある。
遊び半分で座っていいものではないのだ。
流石のシオンも、緊張した面持ちで魔王の玉座に噛み締めるように、静かにゆっくりと座った。
座った瞬間に魔力的な『何か』が私の中を駆け巡った。
「ふぅ………今のは?」
お父さん………前魔王が言ってきた。
「それは、魔王の玉座がシオンを新たな魔王と認めた感覚だ。これにより、魔王城から膨大な魔力がシオンに提供される。魔法を多く使っても、魔力切れを起こすことはなくなるだろう」
なんだって!?
ゲームの魔王が最強呪文を撃ちまくるのは、そんな裏話があったのか!?
「まぁ、シオンは最強のダンジョンをクリアしたんだ。単独で勝てる者はいないだろうが、搦め手には気を付けるようにな」
「はい!ありがとうございます!」
バサッ
シオンは玉座から立ち上がると、そのままバルコニーに向かった。
「なんだ?もう少し座っていても良かったんだぞ?」
うん、本当はもう少し噛み締めたかったけど、早くみんなに知って欲しいからね。
シオンがバルコニーへと出ると、大歓声が響き渡った。
「新しい魔王様の誕生だ!」
「シオン様ーーーー!!!!!!」
「新魔王シオン様、ばんざーーーーーい!!!!!』」
魔王城を取り囲むほどの人数が押し掛けており、シオンが外に出ると、そのざわめきは大きくなった。
「皆さん、お祝いをありがとう。新たな魔王に就任したシオンです」
風の魔法を使い、静かな声で話しても遠くまで聞こえた。
「まず、最初に言っておきます。私が魔王になってもやることは変わりません!」
ざわざわ
ざわざわ
「私がやることは、この魔大陸をもっと住みやすい土地へ変えていき、みんなの生活を豊かにすることです!衣・食・住を提供し、これからは失われた種族の文化を取り戻していきます。私は『最低限』のものを提供しますが、それからは皆さんの力で培って行って下さい。あなた達は奴隷ではありません!私は奴隷を、人身売買を許しません!人は………生きとし生きる者は平等だと思っています。そして、自身に誇りを持って胸を張って生きて下さい。私はその尊厳を傷つけ、奪う者から皆さんを守る、剣と盾になりましょう!」
シオンの演説を聞いた者達はいつの間にか、水を打ったかのように静かになっていた。
決して強気で言っている訳ではないのに、人々の心に響いたのであった。
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