魔王交代!
魔王城の一室で、現魔王バアルとその妻であり王妃であるフレイアは難しい顔をしていた。
「あなたはそれでいいのかしら?」
「ああ、もうシオンも大人だ。そして仲間もいる。恐らく、今度攻めてくる人間達は総力戦で挑んでくるだろう。シオンはすでに魔大陸ではオレより人気が高いからな。決戦の時には担ぐ神輿は1つでないと混乱を起こしてしまう。近い内に、魔王交代の儀式を執り行う」
フレイアはバアルに寄り添った。
「私は魔王でなくなっても貴女の側にいるわよ」
「ふふ、ありがとうなフレイア。これで心置きなく戦える!」
フレイアは、あら?っと言う顔をした。
「久し振りに暴れるのかしら?マモンが喜びそうね」
「ふん、アイツの事はいいのだ。今までは魔王と言う立場ではムチャする訳にはいかなかったからな。それをアイツは!」
ここからは少し愚痴になったが、フレイアは最後まで付き合い、自分も一緒に戦うと決意を表した。
そして後日─
「えっ!?私に魔王の地位を譲る!?」
父親であるバアルに呼び出されて驚くシオン。
「そうだ。すでにお前は俺より慕われているからな。これからの人間達との決戦には、お前を頂点に、指示をだした方が士気があがるだろう」
「えっ、ちょっと待ってよ!急すぎない!?」
バアルは腕を組んで続けた。
「うむ、実務は当面、こちらでやるから大丈夫だ。シオンは軍部面を中心に仕事をして欲しい」
う~む…………
困ったぞ?どうしよう………
シオンは人間達との決戦は『戦わない』ように作戦を立てていたので、この提案は予想外であった。
お父さんは戦う気満々だよね。今まで、私のせいで、少し肩身の狭い思いもしているそうだし、戦う場を用意したほうが良いかな?
シオンは素早く頭の中で、魔王になるメリット、デメリットを計算してゆっくりと答えた。
「いきなりで驚いたけど、わかったわ!私が魔王になる!」
「そうか、では詳しい日程と儀式について話そう」
この日は夜遅くまでお父さんと話し合ったのだった。
そして人間達が攻めてくることもあり急遽、一週間後に、正式な魔王襲名の日となった。
「はぁ~ついにシオンも正式な魔王になるのね!」
「なんか不思議な感じだな」
「でも、これから敬語じゃないとダメかのぅ?」
「あらあら、シオンはそんな事は気にしないわよ」
シオンの幼い頃から付き合いのある仲間達も、魔王の側近に格上げされる為に、本日は正装をしていた。
「それにしても、急と言うか、遂にって言うか、シオンが魔王ねぇ~」
「本当にね」
「シオンって魔王ってイメージないのじゃがのぅ?」
「そうよね。…………でも、今日は」
仲間達はお互いを見詰めて頷いた。
「「「今日は魔王襲名おめでとう(なの)(のじゃ)!!!!」」」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
シオンの愉快な仲間達【by側近】
リリア・種族:ヴァンパイア・よくサキュバスに間違えられる
レオ・種族:獣人・ちょっとバカだけど熱血漢
エルメス・種族:エルフ・この小説のお色気担当
マイナ・種族:ドワーフ・最近、バハムートとキャラが被って出番が少ない
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