こちらも作戦会議です!②

「流石に全員に武具を行き渡らせるには時間が足りないわね」


シオンはメモを取りながら唸った。


「それは仕方ないわね。急に増えたのだもの」

「それにしても、かつての魔王軍はどうして兵力をまかなっていたのかしら?」


かつての魔王は人間達の国に攻めていた。どうやって戦力を集めていたのやら。


「ああ、かつてはダンジョンから魔物を集めて戦力にしておったのぅ。しかし、あくまでも戦う為だけの戦力じゃった」

「じゃぁ、今回はパスね。魔物を従えても、戦いで怪我をすれば暴走するし、無関係の人間も襲うから使えないわ」


シオンは、人間にお仕置きをして、わだかまりが解けるまで、亜人と人間を住み分けするつもりであった。


やり過ぎると、女神の超常現象的な力でこちらが被害を貰いそうだからほどほどが1番なのよね。


「昔と今とでは状況が違うからな。魔大陸の土地が痩せていて、仲間を飢えさせないために人間達の国へ戦争を仕掛けていたけど、今はシオンのおかげで豊かな土地になったからなぁ~」


レオは呑気に言うが、エルメスが付け加えた。


「そですね。今までは魔王軍(魔族、悪魔)対人間と亜人の連合だったけれど、今は逆に魔王軍(悪魔、魔族、亜人)対人間ですものね」


お茶を啜りながら余裕のある様子で言った。


「獣人達から戦闘の出来そうな者で、志願兵を募ったら、予想以上に応募があったそうじゃぞ?しかも、歴戦の強者ばかりじゃった」

「えっ、そうなの?」


亜人達は奴隷から解放したばかりで、農業に精をだして欲しくて、戦争には参加させない予定だった。


「シオンの思ったことは当然であるが、亜人達から種族の尊厳を守ってくれた次期魔王のために戦いたいと申し出があったそうじゃ」

「亜人の皆さんは礼儀を大切にされるのですね」


そんな亜人を奴隷として扱っていたなんてバカな人間達だなぁ~


「そういえば、亜人達の歴戦の強者ってどういうこと?」


シオンは奴隷として無理矢理働かされていたとしか知らなかったのだ。


「なんだ?知らなかったのか?人間達は魔物の討伐にも亜人達を戦闘に投入していたんだ。………録な装備も与えずにな」


!?


「なんですって!」

「シオンが気に病むことはないさ。悪いのは人間達だ。それに、命懸けの戦いをしていた亜人達は強いよ」


レオはそう言うが、同族を捨て石に使っていた人間を許すことが出来ないように、知らずに拳を強く握っていた。


「それと、人間達の動向は監視しているけど、戦の準備に1ヶ月は掛かるわ。逆に言えば、1ヶ月は攻めてこないと言うことよ。この時間を有効に使いましょう」


「そうね。まず人間達が上陸する港街の人々を避難させるか、防衛するのか話し合わないとね」


こうして、魔王軍も戦の準備をしていくのであった。






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