動きだす国々
魔大陸は今までにないほど賑わっていた。
かつては、瘴気が充満して悪魔や魔族など一部の生物しか住めなかった魔大陸が、シオンのお陰で住みやすい土地へと変貌していったからだ。
今までは土地を浄化して田畑を増やしていったのだが、いつの間にか人々が住む土地の瘴気が少なくなっていった。無論、土地を浄化したのもあるが、そこで育てた作物が瘴気を吸収する効果がわかった。
それは光合成のように二酸化炭素を吸収して酸素を作るようであった。
流石に、険しい山脈などは瘴気は濃いが、平地の大地は大抵の生物が住めるほどに改善していったのである。
そして、かつては豊かな大地を狙って人間達の国を侵略しようと戦争を仕掛けた魔王軍に対抗して、国々が一致団結をして人間の他に亜人達も協力して魔王軍を退けた時と現代は変わっていった。
人間が亜人達を虐げるようになったからだ。
次期魔王のシオンが亜人達を助けて、魔大陸へ移住を促したことで、大陸は人間達のみ住む土地となり、魔大陸が多民族国家へと変貌したのである。
しかしまだまだ、奴隷としてこき使われている亜人達多くいるため、解放の要求に従わない国々には秘密裏に救いだしていた。
(まぁ、いままで通りだね)
しかしシオンの転移門のお陰でどんどん人間達の国から亜人が消えていったのだ。
そして、ようやく人間の国々は本当の意味で、事態の深刻差に気付いたのだった。
ドンッと、執務室の机を力強く叩いた。
「どうして隠していた亜人達が一晩で何十人も消えるのだ!」
「申し訳ありません!すでに、厳重な検問も敷いていますので、今しばらくお待ち下さい」
冷や汗を描きながら頭を下げる警備担当者は内心ではわかっていた。
今回も、亜人達が見付からない事に。
すでに何十回も亜人達を逃がされているのだ。
しかし、どうしてもその方法がわからなかった。
娼婦として囲っている美形の良いエルフや貴重な種族である獣人の女性など、他の労働力の亜人と違い、屋敷や城に閉じ込めていたのに忽然と消えるのである。
こうして、人間達は深刻な労働力不足となったのである。今までの農民は自分で働くのではなく、鞭を持ち亜人達を働かせていた。それが、自分達で働かなければならなくなったのだ。
無論、それが従来の姿であるが長年、亜人達にやらせていたので、体力的にも作業的にも効率が悪かった。何より、働き手が足りず大規模な農園を管理できず、どんどん収穫率が下がっていき、不作でもないのに、市場に出回る農作物が減り価格が高騰した。
ここにきて初めて各国の首脳陣は、次期魔王の狙いに気付いたのであった。
戦わずに国を弱体化させるのだと。
しかし、当の本人はそこまで考えていなかった。ただ、虐待されている亜人を救いたいだけであった。
その結果がこの現状であった。
そして各国はまだ余力がある内に魔大陸へ攻めいる作戦を考え始めたのだった。
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