大陸一週旅行と祝賀会!

シオンは瓦礫と化したバドギド王国に転移門を繋げた。


「これ!シオン、人間達に見付かれば命を狙われると自覚しないか!」

「ごめん!早く行くよー!」


シトリンに乗ったシオンは命令した。


「取り敢えず、あっちに飛んで!」

「………了解!」


バッ!

ブワンッと、光のオーラを纏いドンッと高速で飛んでいった。


ゴゴゴッ!!!!

高速で飛行しながらシトリンはシオンに尋ねた。


「それで、何処に向かう予定なのだ?主殿?」

「むふふふ♪」


シオンは気持ちに悪く笑った。

(失敬な!)


「これからシトリンには大陸を廻って貰うわ!そして、要所に転移門を設置して廻るの!」


!?


「な、なんだと!?」

「1度転移門を大陸中に仕掛けておけば、緊急時に敵国へ攻めたりできるでしょう?」

「確かに………」

「それに、なかなか逃げ出せない亜人達を助ける事も出きるようになると思うの!」


シオンの考えにシトリンは感心した。そこまで考えたことがなかったからだ。


「しかし、いくら私でも大陸中を廻るとなると、何日掛かるかわからないぞ?」

「それは大丈夫!日が暮れたら、転移門で帰って、次の日にまたこればいいのよ♪」


あっ!

た、確かにそうである。こんな単純なことに気付かないとはと、シトリンは頭を抱えた。


こうして、シトリンとシオンの大陸旅行………もとい、大陸中に転移門を設置する旅が始まった。そして、夜に家に戻ると両親から大目玉を喰らうのはもう少し後になってからである。



そして1ヶ月ほど経ちました。


魔大陸の港街から少し内陸部に進んだ場所に、新しく作られた亜人達の街があった。シオンの土地改革で、周囲には大規模な農園があり、亜人達は人間達の国に居たときより、厚待遇でお腹いっぱい食べることができていた。シオンは、これから移民が増える事を見越して、幾つもの大規模農園を開発していた。


これに伴い、家畜を育てる事も出きるようになり、新鮮な肉も食べられるようになったのだった。側には大きな川が流れており、飲み水なども大丈夫になった。


そして─


「あ~、まだまだこれからではありますが、人間達に虐げられていた亜人達を救うことができたという、記念の祝賀会を始めたいと思います!」


大勢の亜人達が集まる前で、壇上に立ちスピーチをするシオンの姿があった。


キャーーー!!!!!!

うぉぉぉぉおおおおおお!!!!!


次期魔王であるシオンの人気は留まることを知らなかった。歓声で大地が震えるほど大きな声で迎えられた。

洗脳教育を受けた亜人の子供はともかく、無理矢理奴隷にされて働かされていた多くの亜人達は、救ってくれたシオン達に感謝しているからだ。

そして、憎き人間の国を王を倒してくれたのが大きい。

今まで小規模で救ってはいたが、大規模で人間の国そのものにダメージを与えたのは、近年ではシオンが初めてだったからだ。


「さぁ!今日は無礼講だ!、まだまだ救わなければならない者は大勢いるが、今日だけはこれからの平和な日々が続くように大いに楽しんで欲しい!」あ


レオン将軍が締めくくった。

今までろくな食べ物を食べたことのなかった亜人が多い中、シオンの考案した野菜料理の数々に、会場は大いに盛り上がった。

(まだまだお肉は少ないので)


ほとんどの亜人は劣悪な環境下で暮らしていたので料理など知らなかった。ただの塩のスープなどしか飲んだ事のない者が、タップリ多くの野菜の旨味を取り出した濃厚野菜スープを飲んだらどうなるか…………


それはもう、シオンを女神のように崇めるのであった。








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