嬉しい報告

シオンの部屋にリリアが嬉しそうにやってきた。


「シオン!各国に送った使者から嬉しい報告が続々入ってきたの!」


少し興奮しながら話すリリアに、シオンはどうしたの?と尋ねた。


「人間達の国で酷い扱いを受けていた亜人達の環境改善と、希望者を亜人達を魔大陸へ引き渡す要求が通ったの!」

「へぇ~よく人間の王達が認めたわね」

「なんでも、一部の王様は苦虫を噛んだような顔をしていたようだけど、しぶしぶ要求を飲んだ感じみたい」


まぁ、人間達にしたら良いことではないからね。貴重な労働力を奪われるのだから。


「だからシオンのやった事は間違ってなかったの!」


!?


ああ、リリアは私を慰めてくれてくれてたんだと理解して心が暖かくなった。


「うしっ!もうウジウジするのは止めるわ!」


シオンは突然立ち上がり宣言した。ポカンッとしているリリアに言った。


「リリア、ありがとうね!吹っ切れたわ」

「シオン………よかったの!」


よし!元気を取り戻すには─


「食事会を開くじょ!」

「じょ?」


時々、シオンの行動がわからなくなるリリアだった。

そこからのシオンの行動は早かった。


「ちょっと農園に行ってくる!」

「えっ、あ、ちょっと!?」


リリアが止める間もなくシオンは飛ぶように出ていった。


「元気になったのはいいけど、シオンの行動が読めないの…………」


リリアは唖然としながら見送ったのだった。



リリアは他の仲間達にシオンの事を話した。


「………相変わらず何を考えているのか、わからないヤツだな?」

「でも、元気になってよかったわ」

「そうね」


和やかな雰囲気の所に、ドンッ!とやってきたシトリンが机を叩いた。


「おい!シオンは何処に行った!」

「ど、どうしたのシトリン?」


シトリンの様子に戸惑うリリアだった。


「シオンは人間達から命を狙われているんだぞ!すでに間者も入り込んでいるだろう。護衛も付けずに外に出すのは危険だ!」


!?


魔大陸にいると思って完全に油断していた。

今やシオンは人類の敵となっていたことを!


「シオンなら農園に行くって………」


シトリンは最後まで聞かずに飛び出して行った。


「わ、私の行くのなの!」


リリアも慌てて出ていった。レオ達は王妃様に報告に向かうのだった。


シトリンがマッハで飛んで行って農園に着くと、シオンがやらかしていた。


「慌ててきてみれば………主殿、何をヤッたのだ?」


シトリンの記憶が正しければ、農園はまだ向こうで、ここは荒地だったはずだった。


「あっ、シトリン!ちょうど良かった!」

「………えっ?」


ヒヨコ姿のシトリンにシオンは飛び乗った。


「はぁはぁ、待ってなの~」


後からリリアもやってきた。


「リリアもちょうど良かった。ちょっとシトリンとしばらく出掛けるから後をお願いね!」

「えっ?どこ行くの?」


シオンは人間の大陸を指差していった。


「大陸へ行ってくる!」


シオンは前回のバドギド王国に繋げた転移門を呼び出した。


「ちょっと!?」

「すぐ帰ってくるから~」


シトリンに乗ってシオンは転移門へと消えていった。


「もう!元気になりすぎなの!」


いつも振り回されるリリアは顔を膨らませたが、少し嬉しそうであった。



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