狂魔覚醒!
酷い奴隷達を目にしてシオンの怒りが一気に爆発した。
『クハハハッ!よい!良いぞ!我を解放するのだ!【女神の力の根源】である我が、陵辱された亜人達の怨みを晴らしてやろうぞ!』
とても女神の力とは思えない邪悪な声にシオンはまた支配されていった。
『必ず人間達へ復讐を─』
『言われるまでもない!』
グルルルルルッ!!!!!!!
「シオンっ!?」
シオンの美しい銀髪が艶のある真っ赤に染まった。そして─
「グオォォォォォオオオオオオオ!!!!!!!!」
額の角が一気に伸びて、ギザギザの連接剣のような形で鞭の様に動いた。
シオンは獣のように四足歩行で俊敏に動きながら、首を振る度に角が兵士を捕らえて切断していった。シオンは縦横無尽に広い謁見の間を動き回り、瞬く間に全ての兵士を切り刻んで殺していった。
さらに、謁見の間の兵士を皆殺しにした後は、廊下にでて、援軍の兵士達を殺しにいった。
「…………シオン」
リリアを初めとした仲間達はシオンの変貌に困惑していた。
国王だけは生かされていたが、余りの壮絶な悪鬼の姿に、失禁して気を失っていた。
「シトリンが付いている。大丈夫だ!それより、囚われている亜人達を助けるぞ!」
血塗れの謁見の間を移動して、囚われていたエルフや獣人を助け出した。
「クソっ!人間どもめ!」
「そうだ。お前達もしっかりと見定めるのだ!人間の諸行をな!」
大悪魔マモンは、かつて大切にしていた妻を人間に殺されてから、いつか人間に復讐する機会を窺っていた。心優しい妻は、傷を追った人間を助けた時に、その人間に裏切られて殺されてしまったのだ
「しかし、あれは本当にシオンなのか?」
マモンはここにきて、この虐殺をしたシオンに恐怖を感じていた。自分はとんでもない事をしてしまったのではと、初めて後悔していたのだ。
「大丈夫だ。あれだけ暴れ廻っても、俺達に危害を加えなかった。ちゃんとシオンの心は残っている!」
亜人達を助け終わると、ちょうどシオンとシトリンが戻ってきた。
「クハハハッ!人間達を皆殺しにしてやったぜぃ!」
不敵に笑いながら先ほどより、まともに会話ができるほどには知性が戻っていた。
「主殿、いつまでその状態でおるのだ?」
「あん?ようやく『表』に出て来られたんだ。もう少し遊ばせろよ」
シトリンの言葉にリリアが尋ねた。
「シオンじゃないの……?」
「リリアよ、この者が主殿………シオンの訳がないだろう?これはシオンの中にいた別の人格だ」
シトリンの言葉に首を傾げるリリア。
「如何にも、我は女神ネメシスがシオンが人間と戦わなかった時のために植え付けた人格だよ。人間を殺すことを目的にしたな」
!?
「シオンは大丈夫なの!?」
「安心せよ。ことが済んだら主導権は返してやるよ」
シオン?は転移門を召喚した。
「お前達は早く脱出しろ!この城を消滅させる!」
シオンの言葉にシトリンも驚くのだった。
「消滅って何をするのよ!」
「女神の怒りを知らしめる為に、『メテオ・ノヴァ』という魔法を使う」
!?
この魔法を知っているマモンが1番驚いた。
「かつて召喚された勇者でも一部の者しか使えなかったという大呪文を使えるのか!?」
「ああ、使えるぜ?だからあんたらは避難しな」
……………シトリンはシオンをじっと見詰めて言った。
「本当にいいのか?主殿が後から悔やむことは─」
「今回だけだ!…………このツケは人間達に払わせる!」
シトリンの言葉を遮るように良い放った。
「シトリン?」
不安を隠せずにリリアが呼んだ。
「大丈夫だ。我々は脱出するとしよう」
シトリンは少し強引に転移門に仲間を入れていった。
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