私は初めて人間を憎いと思った!

少し不快に思う描写があります。自己判断でお読み下さい。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


保護者?であるマモンおじさんを交えて、作戦を話し合い、決行時間まで待った。


日が落ちて、深夜になると船は浮上してさらに幻影の魔法にて姿を隠した。


「今回はシオン様の『転移門』にて撤退とのことですが、万が一に備えてシオン様達が転移門で奴隷達を助けたのを見届けてから、我々も撤退致します。トラブルがあった場合はこの船に戻って来て下さい」

「うん、わかったわ!」


こうしてシオン達は闇夜に紛れて、奴隷達の住んでいる施設までやってきた。


コソッ

「けっこう大きい施設なんだね」


シオンはてっきり馬小屋のような所で暮らしていると思っていたのだが、やってきた場所はしっかりした建物で、現代でいう所の体育館ほどの大きさがあった。


シオン達は空から二階のテラスに降り立ち、窓から中を覗くと、言葉では表せない事が繰り広げられていた。


「なにこれ………」


震える声でシオンは呟いた。

窓から覗くと、この建物は一階から二階は吹き抜けになっており建物の中、全体が見渡せることができた。


「アッ!アッ!」

「ハァハァ…………」

「もっと………もっと……」

「あー、あー」


中では獣人の女性達が何十人も集められ、男達の相手をさせられていた。娼館の間違いかと思ったが、獣人族ばかり集められているのだ。間違いないであろう。


シオンを初め、同行していた少女達は言葉を失ったが、マモンだけは冷めた目で淡々と言った。


「何を驚く?これが人間だ。獣人の女性を薬を使い理性を失わせて、性欲の吐き口する。そして、できた子供を育てさせて奴隷として働かせる。成長した子供が女なら同じく性欲の吐き口に、男だったら危険な鉱山などで働かせる。何度も言うが、これが『人間』だ!」


そんな………こんな外道なことを人間が、国が許していると言うの?


「それに、ここだけではない。全ての国が、大小なり同じ事をしている。だからこそ、我々は助けだし、保護しているのだ!」


シオンはマモンの言葉が頭にないらなかった。こんなおぞましい事が平然と行われいるのが、この世界の常識だと言うの?

私をここに送った女神様は、これを憂いて人間を害虫と称したの?

これじゃ、悪魔や魔族の方が理性的じゃない。


「それでどうする?魔法で眠らせてから救出するか?それとも─」


シオンはマモンの言葉を遮った。


「それ以上は言わないで。作戦通り、魔法で眠らせてから救出するわ」


マモンはシオンの言葉に、内心落胆した。これを機にシオンに人間を殺させて、人間を滅ぼす心構えをさせようと思っていたからだ。

しかし、マモンは勘違いしていた。


シオンの心境を。シオンが怒ると角が伸びることに気付かなかった。






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