キレたわ………(お知らせ)
来月からアルファさんの方でファンタジー小説大賞に、この作品をエントリーしようと思います。期間中に5万文字の更新が必要なので、書き溜めるため今月末まで更新を止めます。
来月からは毎日更新となりますので、しばらくお待ち下さい。
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予定通りシオン達は魔法で眠らせてから、奴隷の獣人達を助け出した。何人かエルフなども含まれていた。
施設の中に『転移門』を召喚し、次々に魔大陸へと送った。
「もういないかしら?」
「施設内にはいないわね。………いえ、待って、外に反応があるわ」
シオンの護衛として付いてきたシトリンが索敵反応を見て言った。
「施設外の兵士も眠らせたはずだけど?」
「若干、離れているわ。反応から子供が5人ほどかしら?」
「急いで向かいましょう。レオとマイナはここに残って転移門を見張ってて」
「おう、すぐに戻ってこいよ」
シトリンに案内で施設の裏側に出ると、奥に浅い森林が広がっていた。
「こんな夜に子供達が何をしているんだろう?」
シオンは首を傾げながら向かった。
森林に入ると、ザクッザクッと音が聞こえてきた。視界が開けてくると、子供達は穴を掘っているようだった。シオンは驚かせないように、声を掛けた。
「ねぇ、君たちは何をやっているの?」
シオンの声に一斉に子供達は振り返った。
「ごめんなさい。すぐに終わらせます」
???
いまいち言葉が伝わっていないようなので、もう一度ど尋ねた。
「何をしているの?」
「えっ?あの………言われた通り埋めています」
???
「何を埋めているの?」
「役にたたなくなった【道具】を埋めてます」
子供達は淡々と言って指さした。
「ひっ!?」
シオンは………いや、他のメンバーも息を飲んだ。そこには何人もの事切れた獣人達が横たわっていた。その多くは女性の獣人であった。
「人の役にたたない『道具』は埋めるようにと言われてますので」
子供達はそう言うと、また穴を掘り出した。
それを見てシオンの中で何かがキレた。
『さぁ!怒りを解放しろ!増長した人族を皆殺しにするのだ!』
シオンの中で誰かが呼び掛ける声が聞こえた。
「………リリア、魔法で眠らせて」
「わかったなの」
シオン達はシトリンに命じて、遺体を埋葬し、施設へと戻った。
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「シオン、子供達を魔大陸へ送ったの」
「さぁシオン、私達も戻りましょう」
予定通り、奴隷の獣人達を救出したがシオンの様子がおかしく、早目に戻ろうと気を使ったリリア達であったが─
「私はまだ残るわ」
「えっ、でも作戦は完了したんじゃ………」
シオンはマモンの方を見て言った。
「マモンおじさん、貴方の思惑に乗って上げるわ」
「なんのことだ?」
「私に人間を殺させて、人族を滅ぼそうという思想を植え付けたかったんでしょう?」
!?
「………気付いていたのか」
「ええ、でもマモンおじさんの気持ちが少しわかったわ。確かに人族は思い上がっているみたい。私の考えが甘かったわ」
ピキピキピキッ
シオンの角がいびつな形で伸びていった。
「シオン!?」
「シオン大丈夫!?」
仲間の言葉にシオンは最後の理性を振り絞って言った。
「みんな、はやく転移門に…………怒りで理性が保てない。私の中にいるもう1人の私が暴れたがっている………の」
「し、シオン?」
シオンは頭を抱えて俯いていたが、突然顔を上げて飛び出していった。
「くっ、転移門を閉じて後を追うぞ!」
仲間達も慌ててシオンを追うのだった。
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