キレたわ………(お知らせ)

来月からアルファさんの方でファンタジー小説大賞に、この作品をエントリーしようと思います。期間中に5万文字の更新が必要なので、書き溜めるため今月末まで更新を止めます。


来月からは毎日更新となりますので、しばらくお待ち下さい。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

予定通りシオン達は魔法で眠らせてから、奴隷の獣人達を助け出した。何人かエルフなども含まれていた。


施設の中に『転移門』を召喚し、次々に魔大陸へと送った。


「もういないかしら?」

「施設内にはいないわね。………いえ、待って、外に反応があるわ」


シオンの護衛として付いてきたシトリンが索敵反応を見て言った。


「施設外の兵士も眠らせたはずだけど?」

「若干、離れているわ。反応から子供が5人ほどかしら?」


「急いで向かいましょう。レオとマイナはここに残って転移門を見張ってて」

「おう、すぐに戻ってこいよ」


シトリンに案内で施設の裏側に出ると、奥に浅い森林が広がっていた。


「こんな夜に子供達が何をしているんだろう?」


シオンは首を傾げながら向かった。

森林に入ると、ザクッザクッと音が聞こえてきた。視界が開けてくると、子供達は穴を掘っているようだった。シオンは驚かせないように、声を掛けた。


「ねぇ、君たちは何をやっているの?」


シオンの声に一斉に子供達は振り返った。


「ごめんなさい。すぐに終わらせます」


???


いまいち言葉が伝わっていないようなので、もう一度ど尋ねた。


「何をしているの?」

「えっ?あの………言われた通り埋めています」


???


「何を埋めているの?」

「役にたたなくなった【道具】を埋めてます」


子供達は淡々と言って指さした。


「ひっ!?」


シオンは………いや、他のメンバーも息を飲んだ。そこには何人もの事切れた獣人達が横たわっていた。その多くは女性の獣人であった。


「人の役にたたない『道具』は埋めるようにと言われてますので」


子供達はそう言うと、また穴を掘り出した。

それを見てシオンの中で何かがキレた。


『さぁ!怒りを解放しろ!増長した人族を皆殺しにするのだ!』


シオンの中で誰かが呼び掛ける声が聞こえた。


「………リリア、魔法で眠らせて」

「わかったなの」


シオン達はシトリンに命じて、遺体を埋葬し、施設へと戻った。



「シオン、子供達を魔大陸へ送ったの」

「さぁシオン、私達も戻りましょう」


予定通り、奴隷の獣人達を救出したがシオンの様子がおかしく、早目に戻ろうと気を使ったリリア達であったが─


「私はまだ残るわ」

「えっ、でも作戦は完了したんじゃ………」


シオンはマモンの方を見て言った。


「マモンおじさん、貴方の思惑に乗って上げるわ」

「なんのことだ?」

「私に人間を殺させて、人族を滅ぼそうという思想を植え付けたかったんでしょう?」


!?


「………気付いていたのか」

「ええ、でもマモンおじさんの気持ちが少しわかったわ。確かに人族は思い上がっているみたい。私の考えが甘かったわ」



ピキピキピキッ


シオンの角がいびつな形で伸びていった。


「シオン!?」

「シオン大丈夫!?」


仲間の言葉にシオンは最後の理性を振り絞って言った。


「みんな、はやく転移門に…………怒りで理性が保てない。私の中にいるもう1人の私が暴れたがっている………の」


「し、シオン?」


シオンは頭を抱えて俯いていたが、突然顔を上げて飛び出していった。


「くっ、転移門を閉じて後を追うぞ!」


仲間達も慌ててシオンを追うのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る