新たな力!
バハムートが光の粒子に変わり消えていった。
「本当に終わったんだな」
「そうね。まさか本当に攻略できるなんてね」
シオン達は疲れてクタクタだったが、皆で喜んだ。
「所で、ダンジョンを攻略したらどうなるの?」
最下層を目指す事に夢中でこの後を考えていなかったシオンであった。
「主殿、ダンジョンの最下層には『ダンジョンコア』と呼ばれるものがあり、それを壊すとダンジョンが消えるのです。ただ、この魔王城のダンジョンは資源の宝庫なのでダンジョンコアは壊さない方がよいでしょう。そのかわり─」
シトリンの言葉に割り込む者がいた。
「そのかわり、特別な力を授けよう」
!?
その声の方を見ると赤髪の黒い着物姿の女性がいた。
「だれっ!?」
「うん?わからぬか?先ほど戦ったバハムートじゃ」
なんだと!?
これはシトリンと同じパターンか?いや、契約などしてないぞ?
「その姿はいったい………?」
「龍の姿よりこの姿の方が話しやすいじゃろう?」
「えっ、あ、はい、そうですね?」
シオンは理解できなくどもってしまった。
はっ!?
「そうじゃなくて、確かにバハムートは上半身を吹き飛ばして死んだはずでしょう!?」
「シオン?ダンジョンのボス部屋のモンスターは時間が経てば復活したでしょう?ダンジョンコアを破壊しない限り、復活ぐらいするわよ?」
シトリンが当たり前のように言った。
「そうだった………」
「安心するがよい。妾を倒した勇者に危害はくわえんよ。それより、ダンジョン完全攻略の褒美を受けとるがよい。他の者にも後で渡すとしよう」
バハムートは片手をシオンに向けると、紫色の光がシオンの身体に入っていった。
「これは?」
「シオンには『転移門』の呪文じゃ。1度行ったことのある場所に『設置』しておけばいつでも瞬時に移動できるのじゃ」
「おおっ!それは凄い!便利だよ!?」
これがあれば移動時間を短縮できるね!
脳内に呪文が浮かび上がり、すぐに使えるようになったみたいだ。
「じゃっ、帰ろうか!」
「ああ、疲れたぜ~」
「本当なの~」
「やっと休めますわ」
「では帰るのじゃ!」
……………ちょっと待て!?
シオンは振り向いて言った。
「マイナ?最後に何か言った?」
「いや、何も言ってないのじゃが?」
この、のじゃロリスと同じ口調だと………
ばっ!と、シオンはバハムートを見た。
「なんじゃシオン?」
「バハムートはどうするの?」
赤髪のロングヘヤーの美人さんの姿になったバハムートは不敵に微笑んだ。
「無論、帰るのじゃよ?シオンの家にのぅ!」
「何故に!?」
「それは、このダンジョンの攻略者に、生涯仕えるのが古(いにしえ)からの契約じゃからのぅ?」
なんだってーーーー!?
「でも、みんなで攻略したよ?」
「リーダーはシオンじゃろう?だからシオンが妾を養うのは当然じゃ♪」
ノォォォォォオオオオオ!!!!!!
この怪物を養えと!?
制御できる訳ないじゃん!私より強いのよ?
どうするの私!どうすればいいのよ!!!!
シオンの葛藤を読んだシトリンがフォローした。
「主殿、大丈夫です。このトカゲが暴れたら私が止めますから」
おおっ!流石はシトリンお姉さんだよ!姉御と呼ばせて下さい!?
そのシトリンの言葉にバハムートはカチンッときて言い返した。
「たかだか、雛鳥の分際で吠えたのぅ?焼き鳥になりたいのかのぅ?」
「あら?主殿に負けた分際で、何を言っているのかしら?これだから脳筋症のトカゲは……ハッ!」
バチバチバチッ!!!!!
まさかの龍とヒヨコの戦いがみられるのか!?
(この対立を絵としてイメージしたら………笑ってしまったよ)
グルルルルッ!!!と、犬猿の仲のような二人を見守りながらシオンは深いため息を付くのだった。
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