シオンはモフモフを手に入れた!(威厳ゼロですがなにか?)

シトリンの身体が光り輝くと、その姿が変わった。


「あれ?」


目の前には白色の布地に金の刺繍や装飾の混じった服を着ている金髪の美しい女性が立っていた。


「ありがとう。私の愛しい主殿。主殿のお陰で私は自分の産まれてきた喜びを知ることができた。これからは私が主殿の剣となり盾となろう!」

「えっ?シトリンなの?」


シトリンと呼ばれた女性は頷いた。


「主殿に名前を付けられて契約されたのだ。私は生涯主殿に仕える所存だ」


重っ!重いよ!?ってか、私のモフモフはどこ行った!?


「えっと………シトリンはあのヒヨコの姿に戻れるの?」

「ええ、戻れるわよ♪」


ポンッ!と、音がしたと思ったら先ほどの姿に戻っていた。


「モフモフだぁ~♪」


シオンはシトリンに抱き付き、モフモフを堪能した。そして、一連の出来事について行けず固まっていた者達も、ようやく動きだした。


「………私は夢でも見ているのかしら?」

「いえ、私達も夢を見ているようなの!」

「何が起こったのか理解できないんだけど?」

「なんじゃ?これは何が起こったのじゃ?」


頭ではわかっていても理解出来ないでいた。


「あ、紹介するね♪私のお母様と愉快な仲間達よ♪」


「「「だれが愉快な仲間達だ(なの)(じゃ)!!!」


全員でツッコミを入れる仲の良い子供達だった。


「うむ、主殿の母君であったか。私はシトリン、主殿に生涯忠誠を誓った者だ。よろしく頼む」

「え、ええ……貴女のような特級幻獣なら心強いわ。私の娘は重要な運命を背負っています。その負担を貴女が減らして下さいね?」

「承知しました。契約を交わして理解しております。まさか、魔族から女神の加護が備わっているとは………」


キリッと重要な話をしているのだが、ヒヨコの姿でモフモフされている状態では威厳ゼロである。


「わーい♪フカフカなのぉ~」

「綺麗な毛並み………」

「モフモフじゃないか!」

「この毛、素材に貰ってもいいかのぅ?」


子供達もシトリンの周りに集まりモフモフしていた。


『…………私が子供達に懐かれる日が来ようとは。人生とは本当にどうなるのかわからないものだな』


シトリンは感慨にふけっていた。


そしてシオンも我に返っていた。


『ヤバいわ!乗り物として騎獣できる幻獣を求めていたけど、良く見ると可愛い過ぎて敵にバカにされる!?』


シオンはそれなりに強くてカッコいい幻獣を求めていた。しかし、この巨大ヒヨコは威厳ゼロである。どちらかと言うと、某有名RPGであるFFのデブチョ○ボをイメージして欲しい!


あれ?ヒヨコって空飛べたっけ?マジで異世界ってすげーわ!!!


本当にどうでも良いことを考えていた。




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