な、なんだと!?

砂煙が晴れて遂に黄色の悪魔の幻獣の姿が見えてきた。その姿を見た子供達は震えた。

そしてシオンも震えた。別の意味で!


「なんて禍々しい姿なんだ!?」

「すごい威圧感………」

「なんて貫禄があるの!?」


な、なんだと!?


シオンはみんなの感想に驚いた。


「ちょっと!?本気でいっているの!」


珍しく………いや、この小説が始まってから初めてシオンがツッコミ要員となった。


ざざざっ!!!!


「この容姿を見てよ!どこが禍々しいのよ!可愛いじゃない!?」


シオンはみんなが呆気にとられている状態で、幻獣のすぐ側で両手をビシッと黄色の悪魔に向けて指さした。


「えっ!シオン!?危ないよ!?」

「黙っらっしゃい!どこが危ないのよ!見てよ!このつぶらな瞳を!素敵じゃない!」


「シオン、危険だから離れて!」

「何を言っているのよ!ちゃんと見なさい!この素晴らしい毛並みと容姿を!毛並みは黄金のように美しく、全体の容姿はモフモフしたーい♪みたいな感じじゃない!」


ババンッ!!!

と、効果音がなったような感じがして、シオンは力説した。


「だ、だからその黄色の悪魔は危険─」

「うるさーーーーい!!!!!!その黄色の悪魔って呼び名は止めなさい!だって─」



シオンは言葉を区切って叫んだ!


「こんなに可愛い『ヒヨコ』見たことないのよーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」


!?


黄色の悪魔の姿は、前世でのヒヨコにそっくりだったのだ。ただ違うのはその大きさが5メートルもあることだった。


そしてシオンは黄色の悪魔の前に立ち、両手を広げてみんなを止めた。


「みんな武器を閉まって!そんなに殺気だってたらこの子も怯えちゃうでしょう!」


『ぐるるるる!!!!』


黄色の悪魔が唸り、シオンに覆い被さってきた。


「「シオン!危ない!!!!」」


フレイアや子供達は手を伸ばして駆け出したが間に合わない!


黄色の悪魔の嘴(くちばし)がシオンに迫る!?


『私はモーレツに感動したぞ!少女よ!?』


黄色の悪魔はシオンに頬擦りしていた。


スリスリ

スリスリ


「「はっ!?」」


『誰も彼もが私を恐れ、逃げるか襲ってくるかしかなかったのに、私の姿が美しいや可愛い言ってくれたのは初めてだった!』

「だって、本当に可愛いんだもん♪しかもモフモフ~♪」


シオンは黄色の悪魔に抱き付いて逆にスリスリした。


き、気持ち良いーーーーー!!!!!!!!


「ねぇ、お名前なんて言うの?」

「私に名前などないぞ………」


可哀想………そうだわ!


「私が付けてもいい?」


!?


『私に名前をくれるのか!?嬉しいぞ!』


「し、シオン?ちょっと!まっ─」


フレイアは止めようとしたが、間に合わなかった。


「あなたの名前は【シトリン】よ!」


シオンが高らかに命名した!


『シトリン………』


「シトリンってね、水晶の名前で美しく輝く黄色が黄金(金貨)を意味して、富をもたらす「幸運の石」の名前なの♪そして『友愛と希望』といった石言葉を持つの。私達にピッタリじゃないかな?」


『友愛…………』

「うん!私達、もう友達でしょう♪」


シオンの言葉にシトリンの身体が光りだした。




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