黄色の悪魔………だと!?

フレイアは子供達に事情を伝えた。


「シオン、少し待って?ちょっと問題が起きたみたいなの」

「どうしたの?」


フレイアは自分の使い魔からの報告と言って続けた。シオンに影が付いている事を知られたくないからだ。


「使い魔から報告があったの。森の湖で幻獣同士の縄張り争いが繰り広げられているようなの」


「「幻獣の縄張り争い!?」」


フレイアは子供達に諭すように伝える。


「ワイバーンの群れと、あの黄色の悪魔が争っているようなの」

「えっ!ウソ!?あの獰猛な黄色の悪魔がいるの!?」



みんなは知っているようだが、シオンだけが黄色の悪魔について知らなかった。


「ねぇ!黄色の悪魔ってなんなの?」

「シオン!知らないの!?」

「勉強で習ったでしょう!」

「有名な幻獣ですよ?」


えっ、知らないの私だけ!?

お馬鹿なレオですら知っていてへこむシオンだった。


「あのねシオン?黄色の悪魔っていうのは、獰猛な嘴(くちばし)で相手を穿ち、その黄色の体毛は魔法耐性が強く魔法を寄せ付けない。さらに、飛行速度が速く、2本の鋭い足は岩を砕く脚力があるの」


な、なんだ!その生物は!?最強じゃないか!!!


シオンはみんなと違い、目をキラキラとさせた。


「まぁ、絶対数が少ないから問題になっていないのだけれどね?聞いてる?シオン!」


「うん、聞いているよ。見てみたいなぁ~」


シオンの言葉に母フレイアはダメだしをした。


「ダメよ!ただでさえ幻獣同士の戦いで興奮しているのだから危険よ!」

「そうだぞシオン。今日は帰って、森が静かになったらまた来ようぜ?」


シオンは全員から反対されてガッカリしながら従うのであった。


「今回の埋め合わせはきっとするからね」


フレイアは優しくシオンを撫でた。

そしてシオン達が引き返して森を出ようとした時であった。空からワイバーンが落ちてきたのだ。


ドーーーーン!!!!


「あっぶねー!」


シオン達のすぐ側に落ちたのだ。そして、空から黄色の物体が落ちてきた。


!?


「マズイわ!黄色の悪魔よ!?」


続けてドーーーーン!!!!と、大きな音を立ててその黄色の物体が地面に激突した。

多くの砂煙が舞って黄色の悪魔を見ることが出来なかった。


ごくりっ


誰かの喉がなった。


そして少しずつ砂煙が収まってきた。

向こうで、むくりと立ち上がったのがわかった。


「みんな気を付けてね!」


シオンの母フレイアも魔力を高めて臨戦態勢を取った。


「まったく、シオンと一緒にいると退屈しないな!」

「そうね。シオンはそういう星の下に生まれたのね」

「やれやれなのよ♪」


シオンを1番後ろにして、子供達も臨戦態勢を取った。無論、シオンを守るためだ。

ここにいる全員がシオンに女神の加護がある事を知っている。こんな所でシオンを失う訳にはいかないのだ。


『ぐるるるる!!!!』


黄色の悪魔の唸り声が聞こえてきた。

向こうもやる気のようである。


いったいどんな幻獣なんだろう。

黄色ってことは雷獣なのか?それとも雷鳥?

シオンだけは砂煙が収まりつつあるなか、どうでもいいことを考えていたのだった。





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