ピクニックだー!
「準備はいいかー?」
シオンの両親との話し合いから3日ほど達、シオン達は南の森へ行く準備をしていた。
「………はぁ~」
シオンは深いため息を付いた。
「どうしたのシオン?」
リリアが心配そうに聞くと………
「お母さんも一緒に来るって」
!?
「王妃様が来るの!?」
子供達は驚いた。まさか一国の王妃様が子供達のお遊びに付いてくるというのだから。
いや、正確にはシオンの突発的な行動に付いてくると言った方がいいのだろうか?
「みんな元気ね~♪いつもシオンをありがとうね」
「「「はい!こちらこそありがとうございます!」」」
ヴァンパイアのシオンの母フレイアはすでに数百年生きているが、20代の若さを保つ美人ヴァンパイアである。綺麗な銀色の長い髪はシオンにも遺伝され見る者を魅了した。
そして色白の肌に赤色の瞳が印象的だった。
子供達は雲の上の人と一緒に出掛けられるのではしゃいでいるが、シオンだけは親同伴で沈んでいた。
良くある子供心と言うヤツだ。嫌ではないけど、親が同伴で恥ずかしいと思う現象である。
「さぁ、行きましょう!」
シオン達は特別製の馬車で『空を飛んで』出発した。馬車にはグリフォンという幻獣に牽かれていた。
「ねぇシオン?この幻獣じゃダメなの?」
「私は自分だけの乗り物が欲しいのよ~」
いつもよりちょっぴりワガママなシオンであった。
「そうね~なんでかシオンは翼が生えず飛べないのが悔しいのね?」
フレイアは優しくシオンの頭を撫でた。
「べ、別に悔しいとかじゃないし~?」
シオンは照れくさそうに横を向いた。フレイアも忙しい身である。しかし今回、同行したのには訳があった。
あのシオンなら自分達の言う事を聞かず、南の地方に行ってしまうかも?と思ったからだ。
シオンを監視する意味での同行であった。
ガァー!!!
ガァー!!!
南の森が見えてきた頃、辺りが騒がしくなった。
「フレイア様、南の森が騒がしいようです。森の入口で降ります」
馬車を動かして従者が声を掛けてきた。
「わかりました。急がないので安全にお願い致しますね」
従者は命令通り、グリフォンを森の手前で降ろした。
「さぁ!ワクワクドキドキの冒険の主発だよ!」
シオンは森の湖ではなく、手前で降ろされたのに元気だった。シオンが他の子供達とワイワイと話していた時、母親のフレイアは『護衛』達に斥候させて、南の森の様子を見に行かせた。
『それでは南の森の様子を見に行ってきます』
『ええ、お願いね。それといつもの通りに……ね?』
『はっ!露払いはお任せを!』
シュッンと影が消えた。
シオンがいつも出掛ける時は、人知れず魔王親衛隊が護衛をしていたのだ。
シオンはそうとも知らず、安全な森を進んで行くのだった。
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