乗り物を求めて
あれからさらに3年の月日が流れました。
「八歳になったどーーーー!!!!」
「おめでとうなのぉ♪」
パチパチッと拍手してくれるリリアに、ニンマリするシオンであった。
「シオンのお陰で魔大陸も大分、住みやすい土地になったよなぁ~」
こう言ってきたのは、2年前からシオンの護衛と、遊び相手として連れて来られたレオン将軍の子供でレオであった。名前が似てるって呼び辛いよね………
「おい!なんか変なこと考えていただろう?」
「なっ、別に考えてないわよ!」
『獣人族』は直感が鋭いのである。
「あらあら、いつも仲良しね♪」
「うん、あれはじゃれておるのぅ?」
続いてやってきたのは『エロフ』のエルメスと、『ドワーフ』で、のじゃロリスのマイナであった。
「あらあら~?」
エルメスはシオンの頬っぺたを摘まんだ。
「痛い!痛い~」
「シオンの考えなんてすぐにわかるのよ~」
エルメスはおっとりした性格だが、怒らせると怖い『エルフ』なのだ。
ここに集まったのは、各部族の代表としてシオンと年の近い子供が集められたのだ。
それはシオンを守る護衛として、そしてシオンの重要性を理解して、我々の部族はシオンに忠誠を誓っている証しとしてここにいるのだった。
「さて、私は乗り物が欲しいと思うので探しに行くよー!」
「やっぱりシオンだな」
「やっぱりシオンね」
「これがシオンなのぉ♪」
「やれやれじゃ」
いつもやらかすシオンに一同は慣れてきていた。
「魔大陸はこの何年かで、ある程度廻ったと思うの。そしてファンタジーの異世界に来たからにはワイバーンみたいな龍に乗ってみたいのよ!」
シオンは力強く力説した。
「シオンの一部の言葉は意味不明だけど、ワイバーンに乗りたいなら魔大陸の南に生息しているわよ?」
博識のエルメスが言った。
「でも、魔大陸の南側って瘴気が濃いせいで、通常よりも強力な魔物の棲みかって話だぞ?危なくないか?」
「う~む。危険ではあるが珍しい素材には興味があるのじゃ」
シオン以外のみんなは、う~んと悩んだがシオンは即決した。
「よし!南の方に行ってみよう!」
「おい!こら?話を聞いていたか?」
レオがツッコミを入れた。
「あいたっ!………危なくなったら逃げればいいじゃん!」
「いやいや、龍種から逃げるのは至難だぞ?」
そして、なんやかんやで大人の意見を聞きに行くのだった。当然である!
・
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「ダメだ!!!」
南の土地へ行きたいと伝えると一蹴された。
「どうして!?今までは魔大陸のあっちこっち行っても良かったじゃない!」
魔王であるお父さんは、腕を組んでため息を付いた。
「ふぅ、今までは私が統治する土地だったから許可していた。しかし、南の地域は私の統治の及ばない無法地帯なのだ。故に許可できん!」
ぐぬぬぬ………と、シオンは地団駄を踏むのであった。
「シオン、貴方はまだ子供だと言う事を忘れてはいけないわ?」
隣にいたお母さんが心配そうに言ってきた。
「でも、何故か飛べない私には空の飛べる『騎獣』が欲しいのです!」
この世界では一般的な馬以外で調教した魔物や幻獣の乗り物を『騎獣』と言い、王公貴族でのステイタスとなっていた。
「う~ん………そうね~、それなら少し南にある森の湖に、多くの幻獣が集まるって聞いた事があるわ」
シオンは王妃であるお母さんにそれだ!と、両手を上げて喜ぶのだった。
………一国のお姫様の勉強は受けているのであろうか?
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