第7話 歪な大好きを貴方に EP.0
貴方の首には、細いワイヤーの痕が付いている。
か弱くて、脆くて、貴方のことが大好きな私が付けた痕だ。
でも、半分は私の力じゃない。
もう半分は、貴方自身が自力で引っ張った力だ。
だから、いつもより細いワイヤーの痕がハッキリと付いている
私が首を絞めた理由。
それは私なりの愛情表現の一環であり、マーキング行為の一種。
大好きな貴方を誰にも渡したくない、その思いからの行動だった。
貴方はいつもこの行為をする私に、優しい笑顔で「ありがとう」と言って悦んでくれた。
私はそれが嬉しかった。
なのにここ数日は、この行為どころか、毎日の好きも、悪戯にするキスも、暗がりの情交も無かった。
昨日に関しては、会話すらも無かった。
だから欲求不満になっちゃって、半ば強引気味に細いワイヤーで貴方の首を絞めた。
前にも一回だけ、同じことがあった。
そのときも細いワイヤーで貴方の首を絞めた。
あの日はいつもと同じように、笑ってくれて「冷たくしてゴメン」って謝ってくれた。
今日もあの日のように、事が進むと思っていた。
でも今日は違った。
貴方はそれを受け入れるどころか、私の手を握り、思い切り引っ張った。
混乱する私を見た貴方は、総てが上手く行ったかのように哂って、そのまま息絶えた。
私の大好きな人は、私の目の前で死んでいった。
それから数日が経っても貴方のベットの上には、貴方が居る。
いつもの貴方がそこに横たわっている。
でも、腐ってしまうのも時間の問題。
だから私は考えた。
どうせ腐ってしまうのなら、身体を裂いて内臓を、頭蓋冠を開いて脳を、皮を剥いで筋肉を、そして露わになった骨まで、全部全部ぜーんぶ、アイシテアゲル。
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