第6話 自証の傷と贖罪

 紅い靴を笑顔で売ってくれた男の子。

今の私を見たら、きっと恐怖で吐いてしまう。

あぁ、若くして先のない私。

 そんな私を好いていた貴女もいつか目の前から去っていく。


 私の病状は、日に日に悪化している。

徐々に心臓部分が病魔に侵され、堪えられなくなってきた。

 かつて付けた傷から、また血が溢れてきそうだ。


 もし、私の願いが叶うなら貴女の眼に綺麗な姿で映りたい。

ただそれだけ。

こんな願いが叶ってくれれば、私はどんなに嬉しいか。


 でも、さようなら。

貴女に負わせてしまった傷は治らない。

だから贖罪も兼ねて、自分で付けた身体の傷を晒して、同じ場所を裂いて旅立とう。


 私の愛した貴女の為に。



 わたしは、最近いつものように、話をしていた。

一日に何度もあの娘の事を話をしてなんとなく笑って、なんとなく泣いて。

 サクラが舞うと、あの娘を思い出す。

 いつも一緒だったあの娘は、誰にも言えない内緒の友達だったのに。

 そんなあの娘はもう居ない。

きっと私が殺しちゃったんだ。

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